ラシアンルーレットとは6発に1発、実弾が入っているというハイリスクゲームで、ヤクザ映画の中にしか出てこない。ビジネスの世界では6発に2発ぐらいまではトリガーを引く経営者が幾らでもいるが、6発に4発も破滅の実弾が入っているトリガーを悔いることなく引き続けるのは幾らなんでも愚かに過ぎる。商業施設へのアパレルの出店はそんなものだ。

急落する商業施設の成功率

 当社主催SPAC研究会メンバー企業の過去3年間に開業した31大型商業施設への367店の出店事例では、売上げが予算を超えたのは8店だけ、ほぼ予算通りが127店で、6割を超える232店が予算未達、二桁予算割れも4割を超えていた。商業施設そのもののも半数以上のテナントが予算に届くような成功例は31分の4(12.9%)とさらに低く、半数前後の施設が成功水準に達していた11〜14年頃からは極端に悪化した。限られた成功施設も、当時の「テラスモール湘南」のように出店テナントのほとんどが売上予算を超えるという大ヒット事例は見られなくなった。

 好立地が開発され尽くし、難しい立地を無理に開発するケース、行き詰まった商業施設を無理に再生するケースが増えたことが主な要因だが、アベノミクスによる大都市中心部への人口と投資の集中と地方の過疎化の加速、ECの拡大による店舗販売の地盤沈下も響いていると思われる。

出店より退店が多い!

 出店数より退店数が多ければ退店率は100%を超えてしまう。それでは出店する意味がないと思われるかもしれないが、テナント出店型上場アパレルチェーン7社の退店率はアパレルの大量退店ラッシュとなった15年は192%、16年も141%と2年続いて大幅な退店超過で、退店ラッシュが一巡した17年も101%と退店が上回った。11年度からの通算でも1594店を出店して1758店を退店しているから110%の退店率だ。米国大手アパレルチェーン8社でも、15年が145%、16年が170%、17年は326%まで急増し、11年からの通算では2665店を出店して3226店を退店しているから、退店率は121%とわが国を上回る。

 前述の上場アパレルチェーン7社の退店率も04〜07年頃は20%前後に収まっていたから、近年の退店ラッシュは異常事態と言うしかない。ライフスタイルも消費行動も変わりSNSとECが主導する時代に転じたのに、従来型の大量出店を続けた果ての清算という図式なのだろう。

 幾らアパレルが販売不振だといっても、退店が出店を上回るような情況が続けば、売上規模が萎縮するのみならず除却損で財務体質まで毀損してしまう。ロードサイドにフリースタンディング出店している紳士服チェーンなどでは退店率は格段に低く15年〜20年も営業継続する店舗が大半だから、テナント出店チェーンに特有の事情と察せられる。