新宿伊勢丹本館1階のアップルウォッチ専門ストアが5月13日をもって閉店するそうだ。店舗向かいの丸井本館の1階にアップルストアを構えていることもあって、今回は店舗集約という側面の意味合いが強いと思われる。

 閉店してしまうアップルウォッチ専門ストアは2015年4月オープンというのだから3年間の営業だったわけだ。その間にどれだけアップルウォッチの普及に貢献できたのだろうか。今回はアップルウォッチに限らず、スマートウォッチそのものの普及について少し考えてみたい。

スマホのような普及カーブは描きそうにない

 まず初めに、関連ツールのスマホの普及は4年足らずという見方がある。ソフトバンクがiPhone3Gの取り扱いを始めたのは2008年、ドコモから初のAndroidスマホが発売されたのは2009年。そして当時10%足らずだったスマホ普及率はその後、数年で爆発的に伸び「スマホ元年」と言われる2012年には50%に届く勢いにまで達した。

 では、スマートウォッチの場合はどうだろう。スマートウォッチは2014年にAndroid Wearが投入され、2015年にApple Watchが発売。スマートウォッチの存在が広く世間に知れ渡ったのは2015年頃だろうか。そう考えるともう3年は経過している。どうやらスマートウォッチは、スマホのような普及カーブを描きそうな気配を感じられそうにない。

多くの人は腕時計に「+αの機能」を求めていない?

 本格的な普及が進まない理由はいくつか考えられる。その中でも大きな要因として挙げられるのは「腕時計」としてのアプローチの難しさがあるのではないか。ハンディで持ち運びに便利な電話として広がった携帯電話の進化形がスマホだ。腕時計という既存のファッション・アクセサリーに機能付加させるのとは事情が異なる。腕時計自体、基本性能は既に確立され尽くしていて、動力面も含め、過去に幾つも進化の過程をたどってきた。それでいて、今日までシンプルに腕時計としての役割でしか担えていないのは、多くの人が腕時計にプラスアルファな機能を求めていないのだと推察できる。

 また、アンティークやブランドコレクターなどもいる他に、絶対に見過ごせない存在は腕時計を身に着けない人たちだ。最早、腕時計そのものがスマホに取って変わられている状況において、新たにスマートウォッチが普及していく場面は、正直イメージしにくい。

鍵はスマホの補完的な位置付けから抜け出せるか

 では、どうなると本格的な普及が進むのか。それにはスマホの補完的な位置付けから脱却すること。そして利便性において、スマホを凌駕してしまうくらいの手軽さが求められる。持って歩くぐらいなら、ストレスなく腕にはめられるくらいの感覚。今やカメラ、動画を含めミニ・コンピューター化してしまっているスマホの機能を、そのままに腕に装着、それでいてファッショナブルとなれば俄然、話も変わってくるはずだ。

 お隣の中国辺りでは随分と事情が違うようだ。中国でスマートウォッチをはじめとしたウェアラブル機器市場が立ち上がったのは今から約5年前。それ以降、中国市場では急速に拡大し、その勢いは今のところ減速する兆しがないという。2019年にはウェアラブル利用者は1億8700万人に達すると、米国の市場調査会社では見ているそうだ。

 また、インターネット利用者数に占めるウェアラブル利用者数の比率は、2019年には24.5%とほぼ4分の1を占めるとしている。その背景にあるのは絶えず新機能が搭載される安価な機器が市場に出回っていること。子供向けスマートウォッチが防犯対策として買われているとも聞く。

 日本と違って「ファッション腕時計文化」をあまり体験しなかったことも、急速な普及につながったのかもしれない。

ポイントは「ファッション的な魅力」がつけられるか

 今や、スマートブレスレットなる物まで現れて、目的、機能、デザイン、価格も選びやすい選択の幅にまで品種は広がっている。「Nextスマホ」としてはスマートスピーカーの存在だってある。スマホ以外のデバイスはかなり豊富にある中で、あえてスマートウォッチを選択してもらうには「オシャレな腕時計として身に着けたい!!」と、感じさせるファッション的な魅力が、もっと必要ではないかと感じる今日この頃でもある。