配達ドライバーの負担を減らすアプリ「ウケトル」

 果たして、上記のような「サービス品質が重要である」という顧客視点の意識を持った宅配ドライバーは、一体どれぐらいいるのでしょうか。現在、宅配ドライバーの最大の悩みは、「再配達問題」です。この問題が解決しないと、いつまでたっても「サービス品質の向上」は夢のまた夢です。

 昔は専業主婦が多く、自宅玄関先で一回で配達が完了する良き時代でした。しかし、現在は女性の社会進出が進み、兼業主婦が多い時代です。このような時代環境の変化は当面変わりません。その状況を冷静に直視し、宅配業者と物流業者は自社のサービス自体を大きく変革させていかなければなりません。

「オムニチャネル時代を見据えた第2の宅配イノベーション」と言っても過言ではない変革を行う必要があるのです。宅配業者のヤマト運輸、佐川急便、日本郵政は、駅やコンビニなどに宅配物の受け取り専用BOXを設置し始めました。

 また、配達ドライバーの再配達負担を少しでも軽減するために、消費者の意識を変えるべく、便利なスマートフォンアプリとして、「ウケトル」というサービスも展開されています。私自身もこのサービスをよく利用しており、自身の頼んだ荷物の現在の運送状況をすぐに把握できるので、非常に便利です。受取が急きょ、難しくなった場合にも、宅配業者の事務所やドライバーと連絡を取り合い、フレキシブルに変更対応できるので、再配達率の低下に大きく寄与できるサービスだと思います。

宅配サービスに「松竹梅」を設けてはどうか?

 今日のオムニチャネル時代において、「宅配の再配達は社会的に大きな損失である」という認識を消費者にどのように持ってもらうかが重要なポイントとなっています。そのためには、企業は消費者とさまざまなタッチポイントでの相互作用(コミュニケーション)を図る必要があります。

 消費者行動研究の中に、「制御焦点理論」という考え方があります。この理論の例えとして、「健康意識」がよく話題になります。すなわち、消費者に対し、どのようにして健康意識を根付かせるかを考えた際、「ジムで運動することで、より健康になろう(促進効果)」、「風が流行っているので、病気にならないようにマスクをしよう(予防効果)」というふうなコミュニケーションを使い分けるのです。この例え話を「宅配の再配達防止」推進にうまく援用できればよいのかもしれませんね。

 また、消費者に対し、宅配業者の過度なサービス(再配達は無料)を期待する意識をそろそろ変えてもいいころなのかもしれませんね。日本の宅配サービスのレベルは世界最高水準だそうです。

 サービスというものは、その程度により、負担金額が変わるのは世界的に当たり前のことです。宅配サービスへ「松竹梅」を設定し、松は「自宅玄関先での受け取り」、竹は「自宅近くのコンビニや宅配業者事務所での受け取り」、梅は「宅配BOXでの受け取り」という考え方を企業、消費者で相互に合意形成が図れればいいのかもしれませんね。オムニチャネルと宅配問題は、顧客関係性を深める(エンゲージメント)ためにも、強いつながりがあるのです。