トレンドに対する提案力と若い社員を積極的に登用する実力主義などで知られるパルグループ。社員からの提案で開発したブランド数は50以上に及ぶ。最近は同業他社の買収などの動きも目立ってきた。グループを束ねるパルグループホールディングスの井上英隆代表取締役会長にこれからの経営の青写真を聞いた。

(聞き手/『ファッション販売』元編集長・西岡克)
 

 

井上英隆(いのうえ ひでたか)

 1935年9月13日奈良県吉野郡下市町生まれ。59年立命館大学法学部卒業後、テーラーの世界へ。61年9月スコッチ洋服店を設立。73年10月パルを設立し社長に就任。ジーンズショップを始め、その後レディスカジュアルショップに進出。2003年4月前年に資本参加したナイスクラップの会長に。持ち株会社体制への移行に伴い16年9月パルグループホールディングス代表取締役会長に就任。趣味はゴルフ(シングルハンデ)や囲碁(アマ2段)。

 ――2018年2月期は2期連続の増収増益だった。

 井上:他社も同様でしょうが上期は好調でしたが、11~1月の特にセール期になって少しやられました。その結果、在庫が膨らんで荒利益率が悪化しました。

 ――特に好調だったブランドは。

 井上:レディスカジュアルの「カスタネ」は抜群にいい。メンズの「ルイス」やレディスの「フーズ フー チコ」も好調です。苦戦したのは主力ブランドである男女のジーニングカジュアル「チャオパニック」で、赤字を出しました。

 ――好調だったブランドの好調要因は。

 井上:SNS(交流サイト)の活用が進んだことが大きかったかな。EC(電子商取引)だけではなく、店頭でお客さまとつながって売れました。中心価格が300円の雑貨店「スリーコインズ」は既存店を含め抜群に売れています。

日本の中間層が崩壊している 上下の価格ゾーンを強化

 ――前期を振り返って総括すると。

 井上:最近は変化が激しく、マーケットに即応しないといけないと感じます。

 戦後日本のファッションを盛り上げてくれたのは高度成長時代に台頭してきた中間層が支持してくれたからです。その中間層が多様化して少衆化する中で当社は社員からの提案を受けながら次々とブランドを開発し、世の中の一歩先を捉えて成長してきた。ところがバブルがはじけて中間層が崩壊してきました。最近は非正規社員が4割まで増えたとか。

 昔は身の丈よりも少し高い服でも「これがいい」と背伸びして買っていた。だけど最近はそこそこの完成度と品質があれば「これでいい」と変わってきました。

 ファッションのマーケットは今まではピラミッド形でしたが、今は丸いひょうたん形、あるいはかなり平べったい三角形になりつつあります。上と下が少ない。

 だからラグジュアリーの方へいくか、それともボリュームを取りにいくかというのが今後のマーケットに即応した在り方だろうと思います。

 そこで「スリーコインズ」やライフスタイル型の「コロニー 2139」、ファミリー型の「チャオパニック ティピー」やヨーロピアンカジュアルの「ディスコート」などの低価格ゾーンのブランドを伸ばしていこうと今取り組んでいます。その一方で、上のラグジュアリーの層も強化します。

 ――18年2月期の出退店は。

 井上:57店を新規出店し、77店を退店しました。他にオリーブ・デ・オリーブからの営業譲受が32店あるので、期末店舗数は全体で12店舗増えました。

 ――昨年秋に原宿・明治通りの「CPCM」を「チャオパニック・カントリーモール」に全面改装した。

 井上:これは「チャオパニック」を再生させるためのトライアルです。一番の強みであるアメカジという原点に戻ろうと考えて、スタイリストの熊谷隆志氏をディレクターに迎え15年11月に趣味性が強いクラフト&カルチャーの「CPCM」を開きました。それをもう少し緩めて、カントリーモールという名前を付けました。今後はそれをさらに「チャオパニック」に落とし込んでいこうと考えています。

 ――「チャオパニック」はいつ頃から苦戦している。

 井上:カジュアル→ソフト→タウン→ハードが12年周期で巡るという当社独自のトレンドの周期図「パルマップ」がタウン系に入りだした3、4年前からです。でもそろそろカジュアルの流れにシフトしてきていますから、今は仕掛けるタイミングがいい。「チャオパニック」は急速に回復してくると思います。

低価格の3ブランドを6年後1000億円に拡大

 ――今後の経営戦略の骨子は。

 

 

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