PB化のポイント「+α」の付加価値が重要に

 今日、消費者の消費に対する価値潮流は、おおよそ2つの流れに集約できます。1つは「低価格化」。もう1つは「高品質(サービス、商品)で、かつ値頃感がある」こと。

 SMやGMSではこの2つの価値潮流を踏まえ、MD(商品開発、品揃え)を行っています。中でも、ネット小売業(Amazonや楽天など)の強みである「買物の利便性(低価格、ロングテールな品揃え)」に対し、リアル店舗小売業は、どのようにMDで差別化、優位性を構築できるかを常に考えています。

 特に、MD政策上、NBとPB、留め型商品のバランスをかなり意識しています。PB化では従来の「低価格PB」だけでは消費者の心をつかむことが難しいことは分かっており、同時に「高品質PB」の商品開発に余念がありません。それが、イオンの「トップバリュ セレクト」であり、セブン&アイ・ホールディングス(HD)の「セブンゴールド」なのです。

 ポイントは、今日の消費者はこの2つの価値潮流を併せ持っているということです。今の消費者は決して『低価格だけに流されず、品質(商品、サービス)が良く、値頃感のある商品を分かる賢い消費者』なのです。

 そのため、小売業の能力として、NBとPB、留め型商品の品揃えバランスがよくないと、店舗の売場は荒れ、消費者にとって買物の時短(利便性)だけの売場になり、買物本来の楽しさ(快楽性)を損なってしまいます。

 その結果、消費者とのエンゲージメントは築けず、ストア・ロイヤルティは低下、売上げと収益の悪化を招くことになります。

 今後、小売業が品揃えの観点でPB商品のラインアップ(構造)を考える際には、これまでの定説の「3層+α」のαの部分でどのような付加価値を打ち出せるかが重要となってきます。

リアル店舗の勝負は「買物環境」「健康志向の打ち出し」に

 このα部分でGMS最大手のイオンは「トップバリュ グリーンアイ」のシリーズでユニークな特徴を打ち出し始めています。

 セブン&アイ・HDは従来通り、「高品質」を維持し、「セブンゴールド」と「セブンプレミアム」の2ラインアップ体制は変えず、「セブンプレミアム」の品揃えに多頻度来店を促す「生鮮」を追加し始めました。

 両社の戦略は、消費者に対し、NBとPB、留め型の品揃えバランスを保ちつつ、「リアル店舗としての買物環境の魅力をいかに高めるか」「地産地消の概念を導入し、生鮮の鮮度、安全性の価値を通じ、健康志向をより強く打ち出せるか」というものです。

 この取り組みを通じて、消費者の多頻度来店を実現し、消費者とのエンゲージメントを構築、ストア・ロイヤルティを高め、最終的には、LTV(ライフタイムバリュー)視点での売上げ・収益の向上に注力し始めているのです。Amazonを見据えた、両社のMD政策から今後も目が離せませんね。