築地の看板に描かれたマグロの絵。

 サステナビリティ(持続可能性)とは…「現存する資源や環境システムを持続することができる」ということだ。

 商品=資源を使った物品や資源そのものを消費者に届ける小売業にとって、「サステナビリティに配慮した」商品を選ぶことは、社会的責任とも言える。

 水産資源(鮮魚や缶詰など)はサプライチェーンが長く流通経路が見えづらいため、サステナビリティに配慮することが難しい。本連載ではこの水産資源について、小売業の理想と現状を取材し、小売業ができることと消費者がそれをどう活用できるかを考える。

 第1回で「お魚スーパーマーケットランキング」の結果を見たが、1位のイオンが達成率70%、2位のコープデリが47%、3位の西友が41%から12位のマルエツが3%と、企業によって大きく差があった。一つの理由として、この質問項目を達成するのが非常に難しいということがある。

 達成にはトレーサビリティ(追跡可能性)、つまり流通経路の把握が重要ということであった。

 水産資源のトレーサビリティの高い調達はなぜ難しいのか、気軽に始められることはないのだろうか。前回から引き続き、グリーンピース・ジャパンの海洋生態系担当 小松原 和恵さんに話を伺った。

このアンケートを小売店はどう受け止める?

――トレーサビリティについて、もう少し教えてください。

小松原さん:サプライチェーンをどこまで把握するかやサステナブル・シーフード(生態系への負荷がない・労働者の権利が尊重されている魚介類)がなぜ必要なのかといった問題の認識がされてきたのは最近で、まだ歴史が浅いです。

 このアンケートは消費者と一番近いところという意味で小売店にお願いしていますが、小売店だけではなく流通に関わる全員が意識しなければいけない問題です。

 例えばマグロの漁獲は、未成魚と呼ばれる30kg未満のマグロについて漁獲量の上限が決められています。ですが(3月の時点で)すでに超えそうになっていますし、去年も超えています。また、許可を持っていない事業者が違法に獲っているということもわかっています。こういった魚を市場で見分けるシステムがないのが現状です。

 絶滅危惧種かどうかというところもそうですが、私たちが一番大きな問題だと考えているのが違法、無報告、無規制の漁業(IUU漁業)です。報告されない漁獲が増えると、資源の管理ができなくなってしまうためです。また、混獲やシャークフィニング*も大きな問題です。このような違法な漁業者は洋上転載を使っていることもあり、いろんなところで繋がっているのです。

*サメがかかったら商業価値のあるヒレだけを切り取り胴体を海に捨てる行為。

――小売店はどうしたらいいのでしょうか。

小松原さん:例えばコープデリは、無許可で獲られた可能性があるため天然の太平洋クロマグロの扱いを止めています。区別ができないから何もできないのかというと、そういうことはないと思います。

――養殖はいかがでしょうか。

小松原さん:養殖クロマグロの多くは、獲ってきた天然の幼魚を育てる蓄養に当たるものなので、天然資源に負荷をかけていることに変わりありません。

小売店には消費者に向けて情報を表示してほしい

――小売店や消費者に求めることはなんでしょうか。

小松原さん:マグロは魚の中でも商業価値が高いので大きな問題です。日本は海外からの輸入も多く、違法な漁業が行われているのが海外だとしても、食べている私たちに責任がないとは言えません。安い値段で買える影に人身売買だったり強制労働があっても、サプライチェーンが長いので見えないのです。なので、それが見えるように小売企業にはトレーサビリティを上げていってほしいです。

 消費者の方にも、お店に並んで商品になるまでにどういう人たちの手を渡ってきたのかを気にして、リスクの高いものを避けるという選択をしてほしいと思います。