全国に「サイクルベースあさひ」の店名で455店の自転車販売店を展開する(株)あさひ。2007年に東証一部上場以来、増収を続け2018年2月期では売上高536億円(前年比105%)となった(数字は2月末時点)。

 かつて2万店を超えた自転車販売店も2017年末時点では1万5000店を割り、業態としては不可逆的な減少傾向にある。国内総販売台数では、2017年度は766万台(2016年度779万台)とこれまた減少中だ(数値は「自転車産業振興協会」より)。

 寡占化が無い業界にあって、チェーン店としてはあさひを筆頭にイオンバイク、セオサイクルなどが挙げられる。

 その中で唯一の上場企業であるあさひは海外での生産委託によるPBが仕入額の5割を占めており、49.8%という高い売上総利益率を弾く。このため経常利益率も常に6~7%を確保している。こうした製造小売型による高収益構造はユニクロ、ニトリに近いともいえる。

 あさひの売上構成比は「一般自転車」「子供車」が約4割を占めるが、前年伸びでは横ばいもしくは微減。対して「電動自転車」は前年比122.3%、「スポーツ車」は同じく106.9%とあさひの成長のけん引部門となっている。

 総販売台数としては減少中ではあるが、若者による車離れ、高齢者による免許の自主返納の動きもあって代替の移動手段として当面、自転車の需要も底堅いだろう。

電動自転車が広げるシェアサイクルの登場と影響

 

 減少する既存販売店のシェアを獲得しつつ、安定した成長と存在感を見せているあさひだが、気になる動きもある。

 シェアサイクルである。

 従来の家族や知人、事業者内での共用ではなく、地域レベルにまで発展させたもので、地域内に複数設置されたポートと呼ばれる拠点で好きな時に借り、好きな場所(ポート)に返却するもの。スマホを介した会員登録および決済となっており、利用も容易だ。

 東京都、千葉など自治体での広域実験も始まっている。貸し借りの拠点となるポートも大型団地、商業施設、駅などにあり、自転車利用動機の上位である「買物」(1位)、「通勤・通学」(2位)での利用もしやすい。

 そして個人間フリマの雄 メルカリでも福岡で同様のシェアサイクルサービスとして「メルチャリ」を2月にスタートさせた。グループ会社(ソウゾウ)による展開だが、同サービスではポートも指定せず、駐輪場、店舗、個人宅など好きな場所に乗り捨てができるものとなっている。自転車に内蔵されたGPSによる駐輪場所の把握、利用者による報告にはポイントサービスを付与するなど自転車のIoT化に加え、利用者参加型によりサービスを運用するユニークな形だ。

 こうした動きもまだ地域、期間とも限定的とは言えるが、モノやサービスのシェアが広がる世相にあって、確実に進行するだろう。

 PBを主体としたあさひの高収益構造をユニクロ、ニトリに近いと先述したが、着用し続ける衣料品、室内で使い続けるホームファッションと異なり、利用時間と場所が絞られる自転車は「所有するモノ」から「共有するモノ」へのシフトが始まっている。あさひ(同社に限らないが)も、店舗を「売る拠点」から「サービス提供の拠点」へのシフトをより明確にする必要がある。