人時と人件費の違い、分かりますか?

 そこで指導先の経営陣には、とにかく早く慣れてもらうために、人時と人件費の違いについて、次の2つのポイントでお伝えしています。

 1つ目は、その閲覧頻度の違いという点です。人件費は、月次営業成績表で見ることになりますが、人時は日時の人時実績表で確認できます。この意味するところは、人件費は月に一度しか閲覧できないのに対して、人時は毎日見ることができるということです。予算内に収めようとしても、月に一度しか見られないのであれば、現実的にコントロールはできません。売上高のように、毎日出すことで月末予測が出せるのと同じように、人時も日々閲覧していくことで、進捗管理ができ、予算内に収束させることが可能になるのです。

 2つ目は、余分な作業の含有量の違いです。人に仕事が付いているのが「人件費」で、仕事に人を付けるのが「人時」となります。人に仕事が付いていると、忙しいときには誰でも急いで仕事はやってくれますが、暇なときはゆったりと各自のペースで仕事を行います。問題なのはまじめな人ほど「手が空いてしまってはいけない」という意識が働き、余分な仕事を作ってしまい、作業が詰まっているように見せてしまうことです。

 冷静に考えれば分かることですが、余分な仕事を持ったままで忙しい日を迎えれば、今度は人が足りなくなり、その分が残業となって人件費が超過することになります。

 一方で、仕事に人が付くとなれば、作業のないところに人はいらないので、余分な仕事はなくなることになります。

 つまり、「人件費を人時に切り替えていくこと」で、必然的に余分な作業が削減されるようになるわけです。

「言っていることは分かるが、どこからやればいいのか」という声が聞こえてきそうですが、詳細は セミナーでお伝えしていますが、プロジェクトを立ち上げ、業務の棚卸しや追跡調査から始めていきます。

 こうした調査から、店舗の売場作業などに余分な業務が多く含まれていることが見えるようになります。理由は簡単で、個人の行動や手元作業といった見えにくく、個人に依存してきたことが、明らかになるからです。

 店舗では総人時の7割がこの売場業務になっていることから、この実態を浮き彫りにすることで、そこに隠された埋蔵金を発掘することができるのです。

店舗業務をレジ業務のようにコントロールする

 この売場業務の対極にあるのが、食品フロアのレジで、その混み具合とレジ開閉状態を見れば、人の過不足は一目瞭然になります。そうした意味では、レジ業務は業務内容もはっきりしており、どのチェーンでもその処理時間には大差がないのが特徴で最もコントロールしやすい業務といえます。

 全ての店舗業務をレジ業務のようにコントロールすることで、店舗ごとの人時生産性は飛躍的に変わっていくことになります。 

 大事なことは、利益を生まない業務を放置せず、利益を生む業務に再投資するための仕組みを作ることす。

 大切なことなのでもう一度繰り返しますが、一過性のコストカットではなく、継続的な成長をするチェーンになるためには、業務改革の仕組みを店舗運営本部内に設定し、人時総量をコントロールし、安定した経常利益を出し続けることです。

 さあ、貴社では「販管費増加」の言い訳をしないために、既に店舗運営本部にこういった指示が出されていて、行動をとっておられるでしょうか?