前回、『生産性と効率の話』をして、「効率は投入資源のムダを排除することを指します」と説明しましたが、これに似た言葉に「有効」があります。これも概念が全く違います。

有効は「自社とライバル企業を比較する概念」

 有効とは「効き目があること」「効力を有すること」を意味します。定義だけではまだ、分かりにくいですね。

概念の違いを分かりやすく解説するために、【効率が上がる】【有効である】という文章にして説明します。

【効率が上がる】…以前の資源の使い方より、現在の資源の使い方がよくなった場合に、効率が上がったといいますね。このとき、以前の自分と現在の自分を比較しています。

【有効である】…自社の資源効率レベルとライバル企業の資源効率レベルを比較した場合に、自社の効率レベルが高いとき、【有効である】ということができます。

 このように、効率は「資源の面で自社内での以前と現在の比較」、有効は「いろいろな面で自社とライバル企業とを比較する概念」ということになります。

 従って、【効率は上がったが、有効ではない】という言い方が有り得るのです。この意味は社内での効率は以前より上がったが、ライバル企業と比べるとまだ負けているということになります。

「有効」になるためには4つのことが大切

 有効はライバルとの比較の概念ですから、一番大事なのは「ライバルは誰か?」ということです。「そんなこと、分かりきっている」と思っている方が多いと思いますが、これを間違っている企業をたくさん見てきました。

 例えば、スーパーマーケット(SM)の店舗でいえば、ライバルは同じ業態である近隣のSM店舗と思い込みがちですが、そうではないケースがたくさんあります。最近は近隣のコンビニ、食料品宅配、鮮魚/青果/精肉の専門店の方がライバルであることが多いのです。ライバルはお客さまが自店と比較している店舗です。お客さましか知らないはずです。比較するライバルを間違えば、有効な施策は見つかりません。

 2番目に大事なのが「比較する土俵」、言い換えると「戦う場所」です。横文字でいうと「ドメイン」です。それは品揃え、品質、サービス、価格だったりします。皆さんはすぐ価格競争に走りますが、価格競争は潤沢な資金を持った強者だけに許される戦う場所です。ほとんどの企業は価格以外の場所で戦うべきです。一番いい戦い方はお客さまがその違いが分かって、ライバルがその違いが分かりにくいことです。

 例えば、洗車レベルで勝負するガソリンスタンドは洗車後の水の拭き取りレベルで勝負します。ドア、フロントグリル、ワイパーまでしっかり拭き取ります。このメリットはお客さましか分かりません。走り出したときに水しぶきが飛ばないことで、お客さまは感動します。

 3番目に大事なのが「差の付け方」です。その差は小さい差でよいのです。大きな差を付けてしまうと不必要なコストを使ってしまいます。そのためには、ライバルのレベルをしっかり調査しなくてはならないはずです。

 4番目に大事なのが「スピード」です。施策は遅ければ遅いほど、ライバルと同等以上に戦うためにはコストが掛かります。

 施策を有効にするためには、ライバル、戦う土俵、ライバルのレベルの明確化を行い、スピーディな実施が求められるのです。