3月30日開業したユニーの「アピタモール横浜綱島」は、ユニー直営の約1000坪の食品売場「アピタフードマーケット」と60の専門店からなる近隣型のショッピングセンター(SC)だ。テナントはサービスが28店と半数近くを占めるのが特色で、飲食店は8店。物販は食物販11店、ライフスタイル10店でファッションは3店と少ない。

 昨日のユニー・ファミリーマートホールディングスの決算発表で、ユニーの佐古則男社長が「高質店」のモデルとして挙げた高シェア型の近隣型SC。その実力を売場を回りながら、見てみよう。

<1階>直営の食品売場に専門店、郵便局、貸会議室も

イートインスペースは、白を基調とした明るいスペースでWi-Fiも使え、電源コンセントを用意した席も用意。こうした取り組みはおなじみ、必須となりつつある。

(食物販)「Una Casita」がユニー初出店

2年前に1号店を東京・下北沢にオープンした「Una Casita(おなかすいた)」。店名の「Una Casita」はスペイン語でお腹空いたの意味でなく「小さな家」。「ウーナカスタからお腹空いたのむちゃぶり」だが、瞬く間に人気店に。現在、イオンやセブン&アイ・ホールディングスの「アリオ」などに出店、首都圏に12店舗、中部に2店舗の合計14店舗を展開している。日本の食の再発見と和食のカジュアル化を目指し、調味料、乾物、菓子など全国のこだわりの加工食品をセレクトし取りそろえる青果と加工食品の食の専門店。青果はあえてこだわりは打ち出さず、仲卸しと連携して市場から商品を調達することで、低価格で販売。一方、グロサリーはみそ、ドレッシング、だし、梅干し、米菓などカテゴリー別に特色のあるこだわりアイテムを展開している。「おなかすいた」のビジネスモデルは購買頻度の高い青果で低価格を打ち出し集客し、グロサリーのこだわりアイテムの購入につなげようというものだ。
コーヒーと輸入食品の「カルディコーヒーファーム」。SC常連組で鉄板業態だが、そろそろ新しい切り口のニューバージョンの登場を期待したい。
洋菓子店は長野発の季節の果実を取り入れたオムレットケーキの「ルールドゥグーテ」が神奈川県内初出店。

(テイクアウト)北海道発の人気店と新業態のカフェを導入

「コッペん道土(コッペんどっと」は北海道発のコッペパン専門店。新たに開発したご飯をパン生地に練り込んで焼き上げたパンに、具材が20種類から選べる。
「PICKS(ピックス)」は、ゆであげ生パスタの「ポポラマーマ」の新業態のカフェレストラン。パフェ、スムージーのテイクアウトコーナーを設け、イートイン需要に対応している。

(生活雑貨)「ライフスタイル型」と「オリジナル商品型」

生活雑貨は、藤栄のライフスタイル提案型でインテリアを加味した「メゾネットリュックス」とオリジナル商品の開発に力を入れている「HAPiNS(ハピンズ」、旧パスポート)の2店舗が出店している。
NSCに欠かせないドラッグストアは、「マツモトキヨシ」がかなりのスペースを取って、通路を挟んで売場を展開している。
モールゾーンにある「アピタフードマーケット」の銘店は、横浜文明堂、霧笛楼、鎌倉まめやなど地元の神奈川のブランドを中心に9ブランドを用意している。インバウンド需要が見込めるSCでは外国人客への対応が進むが、では、「アピタテラス横浜綱島」が入る「Tsunashima SST」にはアップルの研究所など外国人も多く働いていることなどから、サービスカンターに音声式の自動翻訳機を備えている。5月下旬より店舗から半径3㎞圏で実施するネットスーパーで注文した商品を受け取れるコインロッカーも設けた。

<2階>コンセプトは「日々の暮らしを楽しく豊かなものに!」

(子育てファミリー対応)キッズスペースを広くとる

「マクドナルド」「リンガーハット」「はなまるうどん」「いきなりステーキ」「一刻魁堂」の5店のフードコートは350席。来店が多く予想される子供連れに対応して、キッズスペースをかなり広く取り、「アミューズメントナムコ」と「あそびパークPLUS」も出店している。子供用写真館「スタジオアリス」も入っている。
理容の「QBハウス」と美容の「イレブンカット」と理美容は低価格店。リラクゼーションは「ラフィネ」、エステは「ポーラ ザ ビューティー」が出店している。こうしたサービス機能はNSCでも増えてきた。
内科、小児科、婦人科、眼科の4科のクリニックモール。調剤薬局も併設しワンストップニーズに対応する。
有力専門店のラインアップは、インテリア「ニトリエクスプレス」、クラフト「ユザワヤ」、靴「ABCマート」、メンズとレディスのスーツとシャツ「Perfect Suit FACTORY(P.S.FA)」、バッグ「グランサックス」。「くまざわ書店」は、「スターバックスコーヒー」とのブック&カフェ。SC出店ではブック&カフェ出店が定石化しつつある。100円ショップは「キャンドゥ」が出店している。ファッションはP.S.FAではなく、カジュアルファッションの方が近隣型のSCにふさわしい。ズバリ言えば「ユニクロ」だ。

「食」「健康」「コミュニティ醸成」の中心を担う

「アピタテラス横浜綱島」が商業施設として入る「Tsunashima SST」は持続可能な街の実現に向けて、景観やデザインを統一し、CO2排出量の2005年度比で40%削減、新エネルギー等利用率30%以上など先駆的な数値目標を掲げている。

 アピタテラス横浜綱島も環境に配慮した次世代型SCとして、「食」「健康」「コミュニティ醸成」の中心を担うフラッグシップモデルとなるべく開業。その実現を通して、便利で快適な日常生活を提供するだけでなく、新しい価値を提供できる商業施設を目指そうとしている、

 環境に配慮して、フロンガスを使用しない次世代冷媒(CO2)を用いた冷蔵ケースや節水型トイレを導入し、広場や歩道にエコ材を一部使う。アピタフードマーケットではバイオマスプラスチック製容器を導入、店舗から排出する廃棄物の分別と計量を行っている。

 横浜市と基本協定を締結し、地域貢献施設として、放課後学童クラブ「つなしまみらい広場『ひかり』ソレイユ」、高齢者の就 労・地域活動の紹介窓口「港北区生きがい就労支援スポット」に「貸会議室」を設けた。

 1階の「COMMUNITY PARK(コミュニティパーク)」では、体験型イベント、ワークショップ、セミナーなどを開催して、地域住民に新たな情報発信やコミュニティ交流の場を創出する。

 こうした取り組みは表面に出にくいが、今後のSCの在り方や機能を考えると必要になってくるものばかりだ。アピタテラス横浜綱島は一度足を運ぶ価値のあるNSCである。 

2018年度からユニーは攻めに転じる

 ユニーはドン・キホーテのノウハウを導入し、既存店の活性化に取り組んでいる。アピタテラス横浜綱島はそれ以前から計画されていた物件だが、食品売場の一部にはドンキを思わせる部分もあった。

 2017年度までは守りに徹し、2018年度からは攻めに転じるというユニー。アピタの最後の出店とならないよう、ユニーの奮起を促したい。