新生活準備と桜の開花に共に催される花見や送別会。花粉もピークに達した人も多かっただろう3月も、さまざまなイベントが盛りだくさんだった月度でもあった。大きなターニングポイントは春分の日。先月のこの連載(「18年2月『無印、UA絶好調、しまむら苦戦』の差はどこに?」)でも指摘していた通り、例年3連休と春商戦のピークと位置付けられていたのが今年は飛び石と日並びが悪くしかも季節はずれの降雪。東京都内でも最高気温が7と、この日ばかりはお客も春物衣料を買おうという気が起きなかったのではないか。学校の春休みシーズン突入期に合わせて17日か 24日の両週末を販売ピークとしてどこまで売り込んだかが勝敗を分けた月度となったのではないだろうか。

*しまむらの既存店「売上高94.4%客数97.3%客単価 99.2%

*ライトオンの既存店「売上高95.7%客数83.6%客単価 114.4%

 今月もしまむら既存店売上高が前年割れとなり、これで昨年の9月以降7カ月連続となった。ただし、例年と比較して休日が1日少なかったことも売上実績に影響した模様。通期決算の見通しでは9年振りの減収3年振りの減益となった。決算発表会見の席上、しまむらの北島常好社長は旗艦業態「ファッションセンターしまむら」の苦戦を販促効果が出なかった上に、商品の絞り込みを主な原因として取り上げた。

 対策として「宝探しのような楽しさ」復活させて商品バラエティを増やし既存店売上高の回復処置にあたり、PB強化にも力を入れ、PB比率を前期の25%から35%まで引き上げたい考え。これから本格的に商品展開が始まる「素肌涼やかデニム&パンツ」は機能を高めて100万本用意、バラエティ化とPB強化とバランスを取りながら既存店売上高の回復を狙う。

 ライトオンも同様に既存店売上高の前年実績の割り込みは3カ月連続。20日締め企業は1日休日が少なかった影響もあるが、大幅な客数の落ち込みは「客離れ」が止まっていないためといえる。上半期を振り返えると前年同期比は減収ながらも、週次での細かな在庫管理や期中での生産、発注とMDを見直した結果、在庫が減って値下げロスも抑えられたことから荒利益率改善した。

 これから下半期に向けては営業系機能を原宿オフィスに移転し情報収集を強める。売場も従来の縦積み多量陳列からハンギング・適量陳列改めるプロパー販売を強化、高付加価値なNB商品の販売にも積極的に取り組み、客単価を伸ばして下半期の既存店売上高は前年同期比で1.5%増を目指すそうだ。

 しかし、いくら客単価を伸ばしても客数の落ち込みの方が激しいと既存店前年実績は割り込んでしまう、それは3月の数字を見ても明らかだ。この春投入したFILAブランドナイロンパーカーは爆発的に売れ、レッド配色は早々に完売御礼。7900円+消費税でも高回転で商品が売れたあたり、前述の発言の意図と重なる気がする。

 メンズ春の一重アウターの売れ筋はブルゾンデザイン、ドリズラー、スウィングトップの順で、専門店イチ推しのスウィングトップや春ニットはこの業態ではまだ売れ行きが鈍いようだ。

アダストリアの既存店「売上高104.4%、客数108.5%、客単価96.2%

ユナイテッドアローズの既存店「売上高111.5%*1客数109.2%、客単価 101.0%

  4カ月振りに既存店売上高は前年クリアしたアダストリア。休日が前年に比べて1日多かったことも要因の一つ。ブランド別ではニコアンド、スタディオクリップ、ジーナシス、レプシィムなどが好調。2018年2月期の連結業績売上増収営業減益に終わった。その要因の一つの旗艦ブランド「グローバルワーク」については、ヤングトレンドに偏り過ぎたため、企画を改める。ディレクターが代わって秋物より本格的に新商品が並ぶ予定。

 また、渋谷ロフト前に同ブランドの旗艦店がオープン、フォーエバー21、ZARA、ベルシュカといった欧米ファストファッションが居並ぶ立地の中、ファミリー単位の品揃えで参入。今後の同店舗の動向にも注目したい。

 ブランド単位で一番落ち込みが激しかったローリーズファームは出店立地の多様さに加えて、顧客年齢層も幅広くMDの舵取りに苦戦している模様。今後は出店先に応じた戦略新たにオケージョン商品も投入して対処する計画だ。

 現状、グローバルワークとニコアンドの売れ筋商品動向を見ていると、その中身の違いに愕然としてしまうほどで両ブランドの勢いの違いを感じる。お客も正直なもので、そのまま両店舗の来店者数の違いとなって表れているように感じる。

 2月から引き続き、既存店売上高をクリアしたユナイテッドアローズ。ただし、休日が1日多かった事で+1.9%程度の影響を差し引くと若干前年割れだったくらいが実態のよう。

 この月の売上げの柱は新生活準備商品が中心でメンズではトロピカル素材の3ピースセットアップ可能なテーラードジャケットやバルカラーやステンカラーといったベーシックなデザインの春コート。撥水やフード取り外し機能の他に着丈78~90cmくらいの着まわしの良さも人気。

 レディスも先月から引き続き、ポリエステルの高収縮糸を使用したパウダリータッチ素材のノーカラージャケットや衿取り可能なトレンチと売れるアウターキーワードは「ノーカラー」だ。リネンライクなトリアセテート素材のハイウエストワイドパンツ等の動きも良かったようだ。

無印良品(衣服・雑貨)の既存店売上119.0%*2 客数109.5%客単価97.1%

ユニクロの既存店「売上高113.0%、客数107.7%、客単価104.9%

 12カ月連続で既存店売上高をクリアした無印良品は好調を堅持。3月は毎年5に渡って開催される「無印良品週間」(メンバーを対象に10%オフ、今年は3月15日~4月3日)が集客、売上げに大きく貢献した模様。

 レディスでは特にボーダーカットソーが安定して売れているようで売場は縞だらけ、太番手のミドラー(アウターとインナーの間に着る)、リブ編みやストレッチ天竺の汎用性の高いインナーTシャツとまで。春のカットソー全般に好調な滑り出しだった模様。

 メンズもボートネックの長袖Tシャツは挿し色のオレンジボーダーの動きが良く、他には定番の洗いざらしのブロードシャツ。C/E二重編みカット素材を使った撥水フルジップパーカー等の動きも良かった。これから麻を中心に同社の特徴が発揮できる天然素材を使った商品や、ワイドプルオーバーデザインのニットやカットソーの動きに注目していきたい。

 ユニクロは2カ月連続で既存店前年同月をクリアした。3月中旬以降、初夏のような暖かさになったこともから、エアリズム、Tシャツ、ブラトップなど夏物も売れた。テレビCMも打ったジーンズはレディスのシガレットジーンズ、メンズではウルトラストレッチなどバリエーションが増えたことで販売量が伸びたそうだ。

 だが、そればかりではないと思う。やはり感動パンツ感動ジャケットを柱としたビジネス対応可能な商品の販売が相当数増えているのではないか。「安い」「安い」といっても感動パンツが3990円+消費税、ジャケットで5990円+消費税だ。今までカジュアルショップのユニクロからしてこの高価格ヒット商品は、この時期に経験したことのない坪効率客単価を実現している可能性が考えられる。数字、効率を考えていくとメンズビジネスシーンにも対応できる商品群の品揃えに力を注ぐことが予想される。

 レディスマリメッコとのコラボレーションが大ヒット、Tシャツはまだしも生産数量設定の問題からかボトムワンピースなど品切れSKUが続出。売り出し当日はフィッティングルームが終日混雑という事態に。これから昨年も大ヒットしたUVパーカーや他店ではなかなか売りこなせていないメンズポロシャツ、プリントTシャツとユニクロの夏物商戦の動向が気になるところだ。