FC契約では、本部の展開するブランドの統一的なイメージや水準を確保するため、本部によって加盟店の営業に関するさまざまな拘束が設けられています。

 例えば、「商品の仕入れに関する拘束」(商品の指定、取引先の指定など)、「商品の販売に関する拘束」(販売の方法、場所、相手方、価格の指定など)、「店舗の営業方法に関する拘束」(研修、マニュアルの遵守、営業時間、競業禁止、テリトリー、記帳、報告、秘密の遵守など)、「商品の廃棄、返品や商標の使用に関する拘束」などが考えられます。

 このような拘束は、基本的には本部と加盟店とのFC契約によって自由に定めることができますが、あまりに行き過ぎた拘束は独立の事業者であるはずの加盟店の自由を不当に奪うこととなってしまいます。

 そこで、本部による拘束に一定の歯止めをかける法令として、独占禁止法が機能することとなります。

独占禁止法により「不公正な取引方法」が規制される

 独占禁止法は、公正・自由な競争を促進し、事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすることを目的とする法律です。

 この目的を実現するため、独占禁止法には4つの規制(共同行為の規制、私的独占の規制、不公正な取引方法の規制、企業結合の規制)が設けられており、このうち、FC契約における本部と加盟店との関係では、主に「不公正な取引方法」の規制(独占禁止法19条)が問題となります。

 そして、「不公正な取引方法」として規制される行為類型については、6つの類型があり(独占禁止法2条9項6号イ~ヘ)、この6つの類型は、①法定の不公正な取引方法(独占禁止法2条9項1号~5号)、②公正取引委員会による一般指定(昭和57年6月18日公正取引委員会告示第15号)によってさらに具体化されています。

 FC契約において問題となる本部の行為類型は、主に以下の3類型です。

(1)不当な取引強制:抱き合わせ販売等(一般指定10項)

(2)事業活動の不当拘束:再販売価格維持(独占禁止法294号)、排他条件付取引(一般指定11項)、拘束条件付取引(一般指定12項)

(3)優越的地位の濫用:優越的地位の濫用(独占禁止法295号)

具体化するさまざまなガイドラインがある

 独占禁止法や一般指定の定めもなお抽象的な内容であるため、実際にFC契約と「不公正な取引方法」との関係を考える上では、公正取引委員会の公表しているガイドラインが重要な役割を果たしています。

(1)フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について

http://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/franchise.html

(2)流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針

http://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/ryutsutorihiki.html

(3)優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方

http://www.jftc.go.jp/hourei.files/yuuetsutekichii.pdf

独占禁止法違反に加盟店はどう対応する?

 本部の行為が「不公正な取引方法」にあたると考えられる場合、加盟店はどのような対応を取るべきでしょうか。

(1)公正取引委員会への報告

 本部の行為が「不公正な取引方法」にあたる場合、公正取引委員会は、排除措置命令(独禁法20条)や課徴金の納付命令(独禁法20条の6)によって取り締まることになります。

 そこで、加盟店としては、この公正取引委員会に対して、独占禁止法違反の事実を報告することが考えられます(独占禁止法45条1項)。

 もっとも、これは違反の事実を報告できるというだけであって、公正取引委員会が適当な措置をとるよう要求する具体的請求権というわけではありません(最判昭和47年11月16日民集26巻9号1673頁)。

 また、公正取引委員会の人員や組織には限界があり、独占禁止法違反の疑いのある行為の全てを直ちに審査してもらえるわけではありません。

 加えて、公正取引委員会に事件を持ち込んだ場合、加盟店やその代理人弁護士は事件処理に関与できず、処理の見通しやスケジュールを予想したり、本部の違反行為を積極的に主張立証する活動をしたりすることが難しくなるという欠点もあります。

 そこで、公正取引委員会への報告ではなく、加盟店やその代理人弁護士が主体的に活動することのできる民事訴訟という選択肢が出てくることとなります。

(2)民事訴訟

①差止請求

 民事訴訟において独占禁止法違反を主張する方法にはさまざまなものが考えられますが、例えば、差止請求(独占禁止法24条)を行うことが考えられます。公正取引委員会による排除措置命令と同じような命令を裁判所が行うように請求するわけです。

②損害賠償請求

 また、本部の独占禁止法違反行為により損害が生じている場合には、不法行為にもとづく損害賠償請求(民法709条)を行うこともあります。

 もっとも、仮に独占禁止法上違法であっても、本部と加盟店との間のFC契約の私法上の効力が当然に否定されるわけではありません(最判昭和52年6月20日民集31巻4号449頁)。

 すなわち、独占禁止法違反は、基本的に公正取引委員会(国)の本部(私人)に対する取り締まりの問題であり、公正取引委員会(国)と本部(私人)との間の問題になります。これに対し、本部の加盟店に対するFC契約に基づく請求があった場合にその請求が認められるかどうか、本部の不公正な取引方法により被った加盟店の損害がどのように回復されるべきかといった問題は、あくまでも本部(私人)と加盟店(私人)との問題であって、別問題というわけです。

 そのため、不法行為にもとづく損害賠償請求において独占禁止法を利用する場合には、ちょっとした工夫が必要となり、具体的には、不法行為の成立要件である権利侵害(違法性)や故意・過失が存在することの説明道具として独禁法違反の事実を主張することになります。

 なお、損害の回復を求めるにあたり、公正取引委員会の排除措置命令や課徴金納付命令が先行しているような場合には、独占禁止法上の無過失損害賠償責任(独占禁止法25条)を追及することも考えられます。

③公序良俗違反、権利濫用による対抗 

 他方、本部からFC契約にもとづく請求を受けたような場合、加盟店としては、公序良俗違反(民法90条)や権利濫用(民法1条2項)を主張して、本部による拘束の効力を否定することが考えられます。

 ここでも先に述べた不法行為にもとづく損害賠償請求の場合と同様、公序良俗違反や権利濫用があることの説明道具として独占禁止法違反の事実を主張することとなります。

加盟店は独占禁止法を知って経営を守ろう

 独占禁止法は本部の行き過ぎた行為に歯止めをかけるものであり、加盟店の権利を守るために重要な法令です。

 FC契約においては、本部の方針や行為に振り回されることもあると思いますが、加盟店にはそれに対抗する法令や手段が存在することを知った上で、自己の経営を守っていただきたいと思います。