ユーカリ植林炭が発する熱量は日本の備長炭と同等レベル。焼き鳥が遠赤外線効果で美味しく焼き上がると評判だ。
試行錯誤を経て、ユーカリ植林炭の事業を軌道に載せた谷田貝良成氏。

 1753店。

 これは、タイの首都バンコクで営業している日本食レストランの数だ(ジェトロ・バンコクセンター・JRO 日本食レストラン海外普及推進機構タイ国支部による2017年3月の共同調査より)。

 個人経営の小さな店から大規模チェーンまで、多彩な日本食レストランがしのぎを削る熾烈なマーケットで、「焼き物料理に使う木炭ならここ」と厚い信頼を寄せられている企業がある。谷田貝良成氏が2000年に立ち上げたウエルネスライフプロジェクト(タイランド)社だ。谷田貝氏はバンコクの「日本食」シーンを支える「黒子」の一人といってもいいだろう。

多い店では月に数トン単位で仕入れている!

 同社のユーカリ植林炭を導入している日本食レストランはバンコクでは有名どころばかり。味に定評があり、高い集客力を誇る店が勢ぞろいしている。多い店では月に数トン単位で、ウエルネスライフプロジェクトから炭を仕入れているそうだ。

 木炭と一口に言っても、クヌギ・コナラなどの原木を400~700℃で焼いた黒炭、樫などの硬い木を1000℃以上の高温で焼いた白炭(備長炭はここに含まれる)、オガ屑を圧縮加熱成型した成形炭などがあり、材料や品質もさまざまだ。和歌山産のウバメカシを使った紀州備長炭、ナラやカシなどを使用した備長炭、マングローブ炭、竹炭まで多岐にわたり、高級とされている備長炭にも実際にはいろいろなランクが混在している。

「ユーカリの炭」は性能が良く、サスティナブル

 同社が生産しているのは植林したユーカリを使った炭。その特徴を挙げてみよう。

主力商品のユーカリ植林炭。タイの大手日本食チェーンの他、日本の冷凍焼き鳥工場や居酒屋でも使用されている。今後日本への輸出は増えそうだ。

 まず1つは炭としての性能の良さだ。タイ国内で計画的に植林されたユーカリの木を原木に、1000℃程度の温度で焼いた同社の炭の炭化率は約90%。約7500cal/g という熱量は日本の備長炭とほぼ同じ。高温で焼いているため、無味無臭というメリットもある。それでいて価格は備長炭ほど高くない。コストパフォーマンスの良い炭といえる。

 サスティナブルである点もメリットの一つ。「植林された木が原料」ということは、二酸化炭素のリサイクルが可能ということ。木炭を燃焼させれば二酸化炭素が排出されるが、木を新たに植えればそこで光合成が行われ、排出する二酸化炭素の量を固定できる。どこで植林されたのか、どのような工程で木炭を生産しているのかのトレースも簡単だ。

 サスティナブルでトレーサビリティも確保できるーー。環境への負荷を減らし、調理の過程で使用する材料一つ一つの安全確保が命題となっている食関連の企業にとっては大きな利点に違いない。

評価が高いサービス対応もお客から支持される理由に

 さらに挙げれば、製品に関連する同社のサービス対応も高く評価されている。

「注文を頂いたら必ず届けること。当たり前のことのようですが、タイではそれが難しい。洪水があろうとデモが起きようと注文に応えることがモットーです」

 2011年秋。タイが大洪水に見舞われ、バンコク都心部にも水がひたひたと迫っていたときも、谷田貝氏のモットーは実行された。

「まだ水が引いていない中、とにかく配達しました。欠陥商品を出さず、お客さまに御迷惑を掛けないこともモットーの一つ。炭化していないという不良品はほとんどないのですが、まれにある。そうしたときにはすぐに出向いて謝罪し交換する。これを繰り返してきました」

 タイで流通している炭には、表面だけ整えてはいるが中はボロボロという製品が珍しくない。そうした環境で谷田貝氏は常に高品質を追求し、当たり前といえば当たり前のクレーム対応やサービスを愚直なまでに積み重ねてきた。

「でも、こうした対応は私がかつて携わっていた旅行業では当然のことばかり。それをやっただけに過ぎません。日本食レストランの進出が相次いだことも追い風でした」