赤いネクタイで有名なアメリカントラッドのラルフローレン、カラフルな生地がかわいい英国風のローラ アシュレイ。

 ホームファッションブランドの付加価値とは、「そのベッド関連、インテリア、バス・トイレサニタリー、ホームウェア、生活雑貨の商品でコーディネートすれば憧れるライフスタイルを手に入れられる」というものでした。

 しかし今、日本ではこれらライフスタイルで世界観を提案するホームファッションブランドが、日本では苦戦を強いられています。

 その理由は、自分らしさを重視する次世代の生活者や価格に敏感なファミリー層が「一目でブランド名が分かるデザインのインテリア雑貨に価格に見合う価値を感じず、既存量販店の手の届く価格の商品で代用しているから」です。

用途と「こと」で価値を訴求すべき!

 アメリカでは1960年代ごろから町の郊外化が始まり、転勤や昇進などで引っ越しが多い生活習慣も手伝い、中古住宅を買い替えするたびにインテリアをコーディネーションするニーズが起こりました。

 これがホームファニシングという業態を生み出したわけです。

(ホームファッションとは、「洋服を着替えるように、室内の設えをコーディネートして住空間を楽しむファッション」を指し、ホームファニシングは、「部屋〈寝室・居間・浴室・台所・ダイニングなど〉をトータルコーディネートして、家具や設備を取り付ける〈furnishファニシュ〉こと」を意味します)

 ホームファニシング業態は、家庭用品全般(食器や台所用品、カーテン、タオルなどの生活用品や家具まで)を扱い、使用する用途(飾る場所、リビング、寝室、浴室など)に沿って数パターンの商品を、「サイズ」「デザイン」「カラー」で絞り込み、コーディネーションの楽しさを期待以上の価格で提供。それにより、アメリカのホームファッションブランドに対抗し、徐々に消費者の支持を獲得していきました。

 では、ホームファニシング業態は全て、価格を前面に打ち出す店舗しか支持されていないのでしょうか?

 実は、そうではありません。

 クレイト&バレルは、ホームファッションブランドが提案するライフスタイルを、ヨーロッパで買い付けた商品と自主ブランドを用途と共に「こと」(楽しむ、味わう、安らぐなど)で陳列し、広い年齢層に支持されています。

憧れるライフスタイルの提案が不可欠だ

 こうしたアメリカの事例がある一方、日本では価格を訴求する量販店がホームファッションブランドに代替されています。これは、いまだ日本には用途と“こと”を売場で具体化できるホームファニシング業態が育っていないと言い換えられるかもしれません。

 日本で無印良品がオーガニック素材や無添加の食品などを扱うことで、無理しない自然なライフスタイルへの憧れを訴求し支持されているのを見ると、消費者はホームファッションに価格だけを求めているのではなさそうです。

 海外展開するクレイト&バレルが日本に出店せず、シンガポールをアジア1号店に決めたのは、1人当たりの所得が日本を超えたからだけではなく、もしかしたら『日本は「価格で家を飾り付ける」ことで満足する市場だ』と捉えたからかもしれません。

 アメリカ発のホームファニシング業態 クレイト&バレルが日本未上陸である今、日本企業には価格だけではない売場演出を施し、日本発のホームファニシング業態を生み出すことが求められています。