靴小売りチェーンのエービーシー・マートが伸びている。国内外に1203店舗を展開(2018年2月時点)、17年2月期(連結。以下同)の売上高2389億円(前年比100.3%)、経常利益428億円(同101.6%)と14年連続で最高益を出し続けている。

 靴小売りチェーンではエービーシー・マートを筆頭にチヨダ、イオン系のジーフットの3社が1000億円超、1000店規模として抜けているが、2017年2月期ではチヨダが売上高1370億円(前年比94.8%)、経常利益81億円(同82.0%)、ジーフットが1022億円(同98.4%)、経常利益50億円(同91.9%)と苦戦中だ。

 2016年度の「国内の靴・履物市場」は1兆3900億円と2015年度に対し、98.2%(数字は共に矢野経済研究所調べ)と低迷トレンドとなっているだけに同社の伸びが際立つ。

 エービーシー・マートの強みは、第1に東京を含む首都圏に総店舗数の4割、関西圏を含むと6割を集中させるなど商圏が肥沃な都市部への集中展開にある。第2に売上構成比で5割以上を占める「スポーツ」分野にある。 

 同社は過去4年間で約800億円の増収(13年2月期1594億円⇒17年2月期2389億円)を果たしたが、「スポーツ」の増収分が588億円(739億円⇒1327億円)と74%を占める。東京五輪に向けてスポーツ市場の伸びも期待されているが、とりわけ大掛かりな施設、道具を必要としないマラソン、ジョギング、ウォーキング用途にスポーツシューズの需要の高まりを捉えたといえる(先述のジーフットでも「スポーツ」は前年比で伸びている)。

 売上総利益率も54%となっており、先の2社がともに40%台後半であることと比較すると高い収益性が目立つ。これも同社がHawkins、VANSなど、海外の人気ブランドの商標権を取得し自社ブランドとしたり、またナイキ、アディダスなどの世界的なナショナルブランド(NB)との提携商品を持つことによる。

ネット購入対策と女性客の開拓が課題

 とはいえ気になる点を3つ挙げる。

 第1に「店舗数飽和の問題」。同社の強みである都市部への出店余地にも限りがある。そのためにレディス専門店として「Charlotte」、都心部の大型基幹店と位置付ける「Grand Stage」など新しい客層、ニーズの掘り起こしを意図した新業態を展開しているところだ。

 第2に「スポーツシューズ」市場におけるネット購入比率の上昇。実際に履いた装着感を試すことが優先されるビジネスシューズと異なり、ブランドとサイズが決まれば購入につながりやすい「スポーツシューズ」はネット購入との親和性が高いといわれる。先述の新業態開発もリアル店舗を通じてマーケット深耕を図ろうとするものだが、今後も拡大し続けるであろうネット購入に対してどこまで有効かは未知数。

 第3に人気の高いNBに売上げが集中すれば、相対的に利益率の高いPB(自社企画商品)の比率が低下すること。13年2月期時点で46.5%を占めていたPBも17年2月期時点で37.5%と低下した。同期間の売上総利益率が57.3%から53.9%へと低下した要因の一つと考えられる。

 最近の同社の成長の柱となった「スポーツシューズ」をどう守るか、続く柱をどう育てるか、がエービーシー・マートのハードルではないか。