コンビニで売上金額が高い単品といえば、(チェーンにもよるが)チキン系のファストフードやコンビニコーヒー、そしてここ10年、基本的にトップ2に入っていた「セブンスター」(たばこ)などがある。

 実は2017年に「セブンスター」を抜く商品が出てきて、今後も長期政権を築きそうなのだ。それが加熱式電子たばこの「IQOS マールボロ ヒートスティックメンソール」だ。

店舗全体の売上げの6~9%を占める商品になっている

 都内の駅前コンビニでレジの手伝いをしたときに、加熱式電子たばこを買うお客さまが多かったので、その店舗のオーナーに聞いてみた。

 すると、「大手3社の加熱式電子たばこが出そろったので、たばこ売上げの3割を占めるようになっています。そして、日増しに買うお客さまが増えています」とのこと。

 チェーンや店舗にもよるが、コンビニのたばこの売上げ構成比は20〜30%。その3割とすると、店舗全体の売上げの6〜9%が加熱式電子たばこによるものとなる。今やコンビニにとって最も影響力のあるカテゴリーとなりつつあるのが、加熱式電子たばこといえるだろう。

電子たばこのユーザーは現状「喫煙者の約15%」

 

 加熱式電子たばこはライターで火を付ける従来の紙巻きたばこと異なり、(方法は商品によって違うものの)基本的にはたばこ葉を燃やさない。直接、電気的に加熱することで発生する蒸気を吸い込むもので、ニコチンは入っているが、タールは無い。

 たばこ葉を直接加熱するので、燃える、いわゆる“たばこ臭い”においが少なく、紙巻きたばこのネガティブ要因だった紫煙と臭いが解決されている。その他、灰が出ないし、消し忘れの心配がない。たばこ葉を燃やすときに発生するタール(ヤニ)を吸い込まないので、歯の黄ばみも少ないとも言われている。

 そして何より、紫煙に含まれる物質でWHO(世界保健機構)が低減を推奨する健康懸念物質の量が、紙巻きたばこと比べると約90%以上低減されている点も人気の理由となっている。

 現在の加熱式電子たばこのユーザーは300万人に達する勢い。2017年の喫煙者人口 1917万人(JT調べ)の約15%を占め、今後もますます増えていくのは間違いない。

ファミリーマートはVAPEを1段展開

 コンビニにとって、こうしたカテゴリーの登場は喜ばしいことだが、商品数も増えていっているため、各コンビニではたばこ什器に陳列場所が足らなくなり、その対策に迫られている。

 そうした中、ファミリーマートでは、利益率の高いVAPE(ベイプ)の取り扱いを標準棚割りで1段取って展開をスタートしている。

 VAPEはたばこの葉を使わず、主にリキッドの入ったカートリッジやカプセルを本体に装填して使うもの。電子的に発熱させ、噴霧化したリキッドの蒸気を吸ったり、吐いたりする。日本で販売されているVAPEにはニコチンとタールが入っていないため、リキッドでアロマの蒸気を楽しむ、たばこというよりはアロマ機器に近い商品となる。

 VAPEにはリキッド注入・補填タイプと使い捨てタイプの2種類あるが、コンビニでは主に使い捨てタイプが販売されており、利益率も通常の日用品と同じのため、加熱式電子たばこの10.8%の4〜5倍の利益率が取れる。

 VAPE関係者に話を聞くと、「コンビニで棚一段、通常の売場で展開すると日販700円が見込め、他の日用品の2倍程度の売上げとなって効率的」と売上げもしっかり確保されるようだ。

 ニコチンが入っていないため、「たばこを吸うと落ち着く」「ホッとする」といった効用が得られづらく、紙巻きタバコからの直接の移行よりは加熱式たばこへ移行した後でVAPEというユーザーが多いそうで、電子VAPEの「スムースビップ」は、ニコチン・タールを含まない商品としてテレビCMで告知をスタートして認知拡大を図っている。

たばこの増税でユーザーがVAPEに移行?

 コンビニではないが、ドン・キホーテでも使い捨てやリキッド式のVAPEが加熱式電子たばことカバーなど関連グッズなどとともに、店舗にもよるが8ゴンドラ前後の売場を取って大々的に展開されている。

 VAPEのリキッド式は、一吸い当たりのコストパフォーマンスが高いため、たばこがまた値上がりする前に動きがありそう。今年10月から紙巻きたばこは4年間で1本3円・加熱式たばこは5年間かけて段階的に増税が決定しているため、コストと健康にこだわるユーザーがVAPEに移行してく可能性がある。

 たばこ税収はここ20年、2兆円から2.4兆円弱で推移しているが、加熱式電子たばことVAPEの動向も税収面で変化をもたらしていくのかもしれない。

加熱式たばこも受動喫煙対策の対象に

 2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、厚生労働省が受動喫煙対策を事業者らに義務付ける健康増進法改正案の素案を公表。紙巻きたばこ、加熱式たばこも規制の対象とし、今後ますます喫煙者と非喫煙者の分離が進んでいく。

 たばこ(加熱式たばこ含む)の規制や長期的な喫煙者減少は、コンビニの店舗数維持に大きな影響を与えるが、今やコンビニは生活インフラとなっているため、その店舗の減少が消費者に与える影響は決して小さくない。健康志向にシフトしているコンビニでたばこの展開に注目が集まるのは何とも皮肉なものだ。