惣菜工場で作られる弁当の例

 単身やシニア、共働き世帯の増加で、食事を手軽に済ませたいという消費者がますます増えている。

 この時流の中、食卓の「時短」ニーズを取り込もうと外食産業、惣菜・弁当店、小売業などが、業種・業態の垣根を超えて競争状態になっている。いずれの業界にも、「食材工場で下調理を済ませた食材を店舗で焼いたり、揚げたりして提供する方法」と、「セントラルキッチン方式で惣菜工場から各店舗に供給する方法」がある。チェーン店には後者の惣菜工場を使った物流を行っているところが多いので、ここでは後者について解説したい。

弁当が消費者の手に届くまで

 惣菜工場で作られ各店舗に配送される商品の事例の一つとして弁当を取り上げてみたい。弁当に入っている食材として、ご飯、梅干し、黒ごま、フキの煮物、ホウレンソウおひたし、から揚げ、高野豆腐、煮豆、サラダ、卵焼き、サケ、野菜天、エビ天などがある。

 お弁当にはいろいろなおかずが入っている。おかずの種類によって、たどる経路は異なっている。

図1 弁当食材のさまざまな流れ。例えば、弁当の流れ①は、食材の代表として、エビの流れを示したものである。生産者が漁獲をして→漁協などが集荷し、出荷する→魚市場などが売買し→惣菜工場が仕入れして、入荷するという流れとなる。

 例えば水産物の具材は「図1、弁当の流れ①」のような流れで同じ工場で作られてパッケージングされるが、揚げ物などは別々の工場で作られて運ばれ、次の工場で弁当具材の一つとしてパッケージングされる(図1、弁当の流れ②)。さらに、それぞれの具材が別々の工場で作られて、店舗でパッケージングされることもある(図1、弁当の流れ③)。各企業の商品戦略、店舗オペレーション戦略によって惣菜工場の製造・物流の機能・活用の仕方は異なる。

惣菜工場ではどんなことをしているのか

図2 惣菜工場での工程の一例。

 図2は、弁当の惣菜工場内での工程から、出荷、店頭陳列までの流れである。

 1)食材の入荷・検品・保管
 入荷検品後、米は常温保管庫で、魚介類は原則冷凍庫で、肉類は冷凍と冷蔵を使い分け、野菜類は冷蔵室に保管する。ここでのポイントは品温管理である。

 2)食材をレシピに沿って準備
 保管庫から必要な食材を出し、次の工程への準備をする。野菜の下処理や、エビ天用のエビに衣を付けるなど。

 3)計量する
 カロリー計算や、製造原価計算のため食材別に重量を計る。事前に仕様書、レシピなど、製造のための情報を確認しておく。

 4)調理する
 例えば、米飯であれば炊飯準備で水に90分間浸漬した後、炊き上がったら素早く混ぜてほぐす。紅鮭やハンバーグは焼く、コロッケやエビ天は揚げる、きんぴらごぼうは煮る、シューマイは蒸すなど、あらゆる調理の工程がある。

 5)冷却する
 食中毒を起こす菌の発生を防ぐため、炊き上がったご飯や、それぞれ調理された弁当の具材を急速に冷却する。

 6)盛り付ける
 手順書、仕様書に沿って、手際よく食材を盛り付ける。店頭陳列した際、売れ数に影響があるので、見栄えには注意したい。

 7)2回目の計量をする
 盛り付けた仕上がり品の全体重量の計量し、決められた基準の許容範囲内かチェックする。ここで包装と、材料や価格を表示したラベルを貼付する。

 8)仕分ける
 店舗ごとに、発注数に応じて仕分ける。企業によっては惣菜工場の中に仕分け室をもつ。店舗ごとに置き場所を決めて、そこに商品を置いていく場合と、商品を決まった場所に置いて、店舗ごとにカート・番重(ばんじゅう。専用の容器)を用意し、弁当を入れていく場合などの方法がある。

 9)出荷
 冷蔵車で温度管理しながら配送する。特に惣菜は温度変化に敏感なので、冷蔵車の庫内温度や番重内の温度などを管理しながら店頭に配送する。

 さらに、物流のポイントとして、定時定点配送(店舗ごとに決まった時間帯に店着すること)で、買物客に品切れのストレスを与えないように注意したい。コンビニエンスストアでは、出来たて、作りたてを提供するという商品政策のもと、1日3便の配送体制で運営している企業もある。

 10)店頭に陳列
 配送された商品を手早く陳列する。商品が届いたら即座に補充陳列作業に移ること。

 以上が、自社工場の場合、委託工場の場合を含めた、一連の惣菜工場の物流の概要である。