昨年6月、イーアス高尾に出店したグランドグローバル。メンズ・レディスの複合型で135坪の大型店。レディスではドレスコーナーを設けた。

前職でカジュアル店の立ち上げに広く関わる

「グランドグローバル」「GGD」「HVC」など、カジュアルショップを手掛けるメックス(本社/東京都青梅市)は1990年8月に設立。同年10月に2層(30坪+30坪)の1号店を青梅市にオープンした。

「ロードサイドの幹線道路が交差する場所で良い立地でした。駐車場も確保できていたので滑り出しは順調でした。前職の仕事が役に立ったと言えます」。こう語るのは冨永幸男代表取締役社長。

 冨永社長の前職はスーツ中心の紳士服店。そこでメンズのカジュアルショップを立ち上げることになり、いわば切り込み役としてその任に当たった。「広告宣伝から店長、商品部までさまざまなことをしました。今と違ってチラシが効く時代。チラシで集客できましたし、いろいろと勉強になりました。商品も当時まだ少なかったインポートカジュアルも扱って、店頭に並べることもできました」

 順調と思われた事業だったが、会社の方針がロープライスで量販のカジュアルに切り替わったことが契機となり、冨永社長は退社。自分で店を立ち上げることになった。

最初はロードサイドにターゲット、自社ブランドの開発に着手

裏原の近くにあるグランドグローバル原宿店。商品部のオフィスも渋谷の神南にあり、情報収集には好立地。

 独立するに当たり、冨永社長はロードサイドメインのカジュアル店の経営にかじを切った。「選択肢は3つありました。第一にファッションビル、第二に都心の路面店、第三にロードサイドマーケット。ファッションビルは知名度もない上に独立間もなく信用がない。都心の路面店は何より家賃が高い。残ったのはPL(損益)的に初期投資が少なくて済むロードサイドでした」

 そして、少しでも安くていい物件を探していたところ、前述した青梅に行き着いたとのこと。もともと冨永社長自身は東京都世田谷区生まれで、前の会社も都心部。「独立したからこそ」の場所だったようだ。1号店のオープンから5年後には東久留米に2号店(120坪)を開いた。1号店同様のヤングカジュアル店で、街道が交差する好立地で順調に進んだ。

 その後、伊勢崎などに出店したが、当時の状況について冨永社長は危機感を持っていたと言う。「お客さまのブランド志向が強く、店もそれに合わせるようになりました。アメリカのブランドを少しでも安く仕入れて売る競争です。当然荒利益率も低くなり、4割を切ることもありました。デニムは全ブランド厳しかった。また真贋の問題も出てきます。売上げが落ちて利益率も低くなる尻すぼみ状態が続くわけです」

 この局面を打開するために2000年になって、自社ブランド「グランドグローバル」の開発を進めていく。同ブランドはトラディショナルをベースにしたちょっと大人のカジュアルブランド。これで利益率を47~48%ほどに戻すことに成功した。これが最初のターニングポイントとなった。

トレンドをいち早く取り入れた、20歳前後向けの「GGD」

トレンドの発信地、裏原のストリートブランドをリードする「GGD」。

 郊外ロードサイドでの消耗戦を自社ブランド「グランドグローバル」の開発で対抗していたときに2度目のターニングポイントが来る。

 それは、ファッションに敏感な若者が集まる「裏原宿」に「GGD」(グランドグローバルデザイン)を05年、オープンしたことだ。ロードサイドから冨永社長がファッションビジネスをスタートした得意な都心に戻ったのだ。

 GGDは、ストリートファッションに最先端の時代のトレンドを取り込んだメンズブランド。斬新なデザインを加えたコーディネートを提案している。下北沢、吉祥寺、大宮、横浜など、若者が多い都心の路面店を中心に出店、ファンをつかんでいる。ただ都心や大都市は保証金も高いので、今後はよく立地を見て判断したいとのことだ。

 ブランド展開としては、「GGD」の他に前述した20代~30代向けのトラディショナルなメンズカジュアルブランドの「グランドグローバル」、時代のトレンドをリーズナブルに提案するメンズ、レディスブランドの「HVC」(ハイクオリティ・バリュープライス・コンテンポラリーから命名)、トレンドをベースに高感度な大人の女性スタイルを提案する「アン・アシュリー」、遊び心のあるスタイリッシュなアイテムを提供する「サラ・サリー」などの構成となっている。

 もともとはメンズカジュアルでスタートしたが、今後はもっとマーケットシェアがあるレディスを強化したい意向だ。

リアル店は慎重に判断。EC化率も高めていく

昨年9月にオープンした好調な滑り出しのグランドグローバルイオンモール松本店。
郊外SCの出店の鍵となるHVC。写真はイオンモール八千代緑ヶ丘店。

 92~2000年にかけて出店したロードサイド店だが、10年までに全部閉めたという。その理由が、第3のターニングポイントとなる郊外SC(ショッピングセンター)への出店だ。

「1号店はイーアスつくばに100坪クラスの店をつくりました。ここは学園都市で客層も良く単価も高く取れました。ここで気付いたことがレディスのオリジナルを強化しなければ競合には勝てないこと。仕入れ商品だけでは差別化のポイントにはなりません。しかも郊外のSCはファミリー客が多い。そういった層に受け入れられるブランド開発は大事だと思いました」

 今はその流れもあり、郊外SCのメンズ・レディス複合型店舗「グランドグローバル」に注力している。「グランドグローバル」「HVC」の両ブランドを中心に、レディスの「アン・アシュリー」「サラ・サリー」など、こだわりの国産商品を中心にそろえる。

「もう量販という時代ではありません。多少単価が上がっても、少量ロット生産でいい商品を売り込むことが大切です。人口減やオーバーストアで客数が確保できなければ客単価を上げていかなければなりません」

 そして、リアル店舗の出店は慎重に検討していくとのこと。ランニングコストや競合の動向など、精査する箇所はたくさんある。

 一方、EC(電子商取引)については意欲的だ。現在、ECの売上比率は7%(売上げで2億円弱)だが、来期は13%ぐらいにもっていく方向だ。そして、長期的には25~30%を目指していく。その策として人への投資を行って内製化を図っていく。また、撮影も渋谷オフィスにスペースを設けた。

 採用は毎年新卒で20人前後。今のショップスタッフはメンズブランド中心だったこともあり男性が7に対し女性が3。レディスブランドも強化していくので、女性スタッフを増やす方向だ。

 

メックス
本社所在地/東京都青梅市河辺町5-10-1
営業本部/渋谷区神南1-9-4 NCビル3-A
代表者/冨永幸男
売上高/26億円(2017年3月期)
店舗数/39店(他ネットショップ)
店舗数内訳/グランドグローバル12店
      GGD7店
      HVC18店
      アン・アシュリー1店
      サラ・サリー1店
従業員数/240人(社員・パートアルバイト合計)
創業/1990年

 

 

※本記事は『ファッション販売』2018年4月号に掲載されたものです。内容は取材当時のものです。

※『ファッション販売』はオンラインストアや紀伊国屋書店など大手書店で発売しております。

→オンラインストアはこちら