4店目となる新手のクリエイティブミセス向けセレクトショップ「ISPANO」(2階)は価格も手頃で商圏の顧客に合いそうだ。

 3月16日開業の『イオンモール座間』(神奈川県)は総賃貸面積5万㎡とイオンモールとしては小振りで商勢圏も実質3km圏内外と限られ、どの駅からも1.5km以上離れ、周辺道路が渋滞して車アクセスも苦しい上に、日産自動車が完成車生産を止めた1995年以降、所得水準の低下が続いて首都圏サバブとしては異例に低く(座間市は全国市町村比で120超から97へ低下)、20〜40代が厚いとはいえ、工場地区ゆえ女性が少ない(半径3km圏内の40〜54才では男性数比91%)難しい商圏でもある。そんな小商圏ショッピングセンター(SC)のテナント構成、とりわけ衣料店の構成をどうするのか興味を引かれた。

食物販・飲食・サービス主体で、限られる衣料テナント

 まず全体の構成では食物販・飲食・サービスの比率が極端に高い。1階ではイオンスタイルの食品と食品専門店街「ZAMA DELI」がフロアの半分を占め、2階のレストラン街「WONDER DINING」と3階のフードコートまで合わせると全169テナント中45店に達する。郵便局、診療所やデイサービス、各種教室やアミューズメント、ヘアサロンやリラクセーションなど非物販のサービス業種も36店に及ぶ一方、アパレルはキッズ・ベビーまで含めて39店に限られる。

タツミヤの「T‘s collection」(2階)は品揃えのバラエティと販売力で定評がある。
ナショナルチェーンでも「ベルーナ」(2階)はお手頃価格。

 パート主婦などミッシー向けには「AMERICAN HOLIC」(1階)や「ハートマーケット」(2階)、「Techichi TERRASSE」(1階)や「SM2 keittio」(1階)がどこのSCでも人気だ。ミセス向きでは、ここが4店目となる新手のクリエイティブミセス向けセレクトショップ「ISPANO」(2階)は価格も手頃で商圏の顧客に合いそうだし、ナショナルチェーンでも「ベルーナ」(2階)はお手頃価格、パレモの「Ludic Park」はLサイズ対応、タツミヤの「T‘s collection」(2階)は品揃えのバラエティと販売力で定評がある。他にもちょっとグレードの高い鎌倉のセレクトショップ「maison 4cups」、千葉のティムティムの「CRB」、茨城のフクダの「to blossom」など、ミッシーからミセス狙いのローカルチェーンがいくつか出店しているが、いずれもナチュラルな生活感があって好ましい。

 ミッシー向けにはパートなどの通勤ニーズもカバーするナチュラルモード系からライフスタイル感の強いナチュラルコンフォート系まで幅があるが、後者寄りほど小商圏に向いている。ミセス向けにはアーバンなフェミニンモード系からナチュラルコンフォート系やクリエイティブカジュアル系までバラエティがあるが、小商圏ではナチュラルなライフスタイル感のある方が手堅い。その意味でも、「イオンモール座間」の衣料テナントぞろえは当を得ているのではないか。

「商圏顧客を見据えたローカル対応」が要

 大商圏SCでは「H&M」や「ZARA」などファストファッションや「GAP」など大箱の外資SPAが中核を占めるが、販売効率は「ユニクロ」や「GU」の半分にも届かない(一番ましな「ZARA」でも6掛け)。それに対して顧客をつかんだローカルチェーンやミセス向けのチェーンは「ユニクロ」に迫る、あるいは凌駕する販売効率を稼ぐ例も見られる。小商圏のSCほど、そんな傾向が強い。

 衣料品は世代や体型はもちろん、地域の生活文化、個人のライフスタイルや好みが色濃く反映されるもので、さまざまな客層が存在する。当社が掌握しているだけでも婦人で34タイプ、紳士で24タイプの好みがあり、商圏ごとにその割合には大差がある。にもかかわらずSCの衣料品テナント構成は全国一律の金太郎飴に流れがちで、その時々の人気に流されれば商圏顧客と乖離してしまう。客数の限られる小商圏SCでは乖離は売上げに大きく響くから、足元の客層を見据えた選択が望まれる。

 グローバル一律展開の外資チェーンより顧客をつかんだローカルチェーンやミセスチェーンの方が確実に売上げを稼ぐ。難しい小商圏での闘いを強いられる「イオンモール座間」の衣料テナント構成には、そんな現実を見た手堅いものがあった。