トライアルカンパニー(福岡)は本社1階の実験店舗で、ウォークスルー型RFID会計ソリューションの実証実験を行った。

 第12回は、「RFIDとオムニチャネル」です。

 皆さん、「RFID」という言葉を聞いたことがありますか?

 RFIDは「Radio Frequency Identification」の略で、ID情報が埋め込まれたRadio Frequency タグ(チップ)により、電磁界や電波等を用いて近距離間の無線通信を実現する機能を有したもの。通常、ICタグのことを指します。

 今日、小売業界では「RFID」と「オムニチャネル」は密接に関連しています。その理由は、オムニチャネルの目的がネットとリアル店舗における顧客のシームレスな買物体験(顧客経験価値)の醸成にあり、それを実現すべく、「ネットとリアル店舗間の統合的な在庫管理」が必要不可欠だから。それを実現する鍵を握るのが、RFIDなのです。

販売機会ロスの削減にもつながる

 RFIDは小売企業に多くのメリットをもたらします。

 その一つが店舗で働く従業員の棚卸業務負荷の軽減。商品在庫の正確な数値把握は販売機会ロスの削減にもつながります。これらは全て、前回(「自動発注」との上手な付き合い方)同様、「生産性の向上」(効率化)につながります。

 ここで、RFID導入の具体的な事例を説明しましょう。

 まず、スマートフォンやパソコンを利用する消費者(オムニチャネラー)は、サイト内で欲しい商品を物色します(ウェブルーミング)。

 欲しい商品が見つかったら、ネットで買いたい場合、次にするのはネット在庫情報の確認。店頭で買いたい場合には、店頭在庫情報の確認になります。

 この後のステップがオムニチャネル上、とても重要です!

 仮に、店頭で試着してから欲しいものを買おうとした場合、顧客は店頭在庫情報に基づき、店舗に向かいます。

 しかし、自身が気に入っていた物(例えば、靴)のサイズが試着後に合わず、1サイズ上の靴がぴったりだと分かったとします。ところが店舗にはその在庫がなかった。こうした場合、オムニチャネルを行う小売企業はネット在庫や他店の店舗在庫をすぐに調べます。

 そして、もしネット在庫や他店在庫があった場合、顧客に対して、「当社のWebサイト(あるいは他店)にお客さまにぴったりのサイズの在庫がございます。それを後日、本店舗で試着されますか? それとも試着せず、本日店舗でご購入の上、ご自宅に配送いたしましょうか?」と話ができるのです。

 RFIDにより、全店の店頭在庫情報が正確に把握できているから、このような付加価値の高い提案ができるのです。

 この事例から学ぶべきは、在庫の統合管理による販売機会ロスの回避だけではありません。顧客の店舗に対する信頼をいかに高めるか、素晴らしい買物体験をしてもらうかなのです。これが小売業においても「真実の瞬間」(顧客が企業価値を判断する瞬間)なのかもしれません。この瞬間を通じ、顧客と小売店間の「エンゲージメント」(長年にわたる絆)を構築していくことが今、求められています。

日配品、生鮮食品、惣菜では廃棄ロスの劇的な低下も

 もう一つ、RFIDの導入により、生産性向上に寄与する事例には、賞味期限の正確な把握による廃棄ロス率の劇的な低下があります。

 この対象は日配品、生鮮食品、惣菜です。今の消費者は日配品、生鮮食品、惣菜の鮮度や安全性をとても重視しているため、その評価は店舗選択だけでなく、ストアロイヤルティにも多大な影響を及ぼします。現在、RFIDはまだまだアパレル分野にとどまっている節がありますが、今後は、鮮度や安全性を重視する日配品、生鮮食品、惣菜分野にまで進出してくることが予想されます。