右から、小田急電鉄株式会社 星野晃司社長、株式会社セブン&アイ・HD 井阪隆一社長、小田急商事株式会社 藤波教信社長。

 2018年3月8日、セブン&アイ・ホールディングス(HD)と小田急電鉄、小田急商事の3社間において、業務提携にかかる基本合意書が締結された。

 記者会見では、各社の小田急沿線に向ける思惑や期待が語られた。小田急電鉄株式会社 星野晃司社長、株式会社セブン&アイ・HD 井阪隆一社長、そして小田急商事株式会社 藤波教信社長の発言をまとめた。

小田急電鉄株式会社 星野晃司社長

 

駅構内売店、SM事業で連携

「小田急グループにおいては、複々線完成に合わせた小田急沿線の魅力向上、グループ流通業の強化を目的として。またセブン&アイ・HDにおいては、セブン-イレブンの小田急沿線への出店拡大と、事業ノウハウの共有によるさらなる事業発展を目的として、お互いに協働をしていくことが、両者グループの企業価値の向上に資すると判断し、本日、基本合意書を締結するに至りました。

 スーパーマーケット(SM)事業における相互協力という観点からは、小田急商事とセブン&アイグループの人的交流や小田急商事におけるセブンプレミアムなどの取り扱いの検討、さらにはオペレーション、教育ノウハウなどの共有、マーチャンダイジング(MD)の連携を掲げております。

 また駅構内売店、コンビニ(CVS)事業におけるセブン-イレブンのフランチャイズ店舗への展開や、商品調達における物流機能の相互活用による効率化とコスト削減も目的といたします。

 本年8月までをめどに、最終契約締結を進めていくと合意しました」。

今回の提携では、小田急商事が中心となる

「小田急グループでは、百貨店、ベーカリー、インナーウェアのEC事業、多岐にわたる流通業を展開しております。本提携については、小田急商事が中心的な役割を担います。小田急商事は、沿線の食生活を支えるSM、駅構内の利便性を提供する売店、CVSを展開する、小田急グループの流通業の中核会社であります。

 この4月に発表を控えております次期中期基準計画においては、町の中心的存在としての賑わいの創出、事業構造改革による収益性の向上、お客さまとの接点多様化とコミュニケーションの強化を課題に掲げ、小田急グループの流通業の強化を目指してまいりますが、本提携は、その大きな柱となるものでございます。

 本提携による小田急商事の飛躍を通じて、流通業の収益強化を図ってまいりたいと考えております」。

【ここがポイント】小田急線は2018年3月の複々線開通により、混雑率の低下や都心への所要時間の短縮を図る。また、沿線の再開発を積極的に進めるなどにより、沿線への人口流入を期待している。今回の提携も複々線完成にタイミングを合わせ、効果の最大化を狙った。

 小田急グループ側としては、SM事業では沿線に細長く展開するため、流通の効率化が図りづらかったところに、セブン&アイのノウハウを取り入れたい考え。

株式会社セブン&アイ・HD 井阪隆一社長

 

駅構内店舗の転換、今後2年めど

「当社はこれまで、全国の鉄道会社7社と提携して、約450店舗出店させていただきました。これまでは駅構内の店舗をセブン-イレブンに転換するという業務提携を推進してまいりました。

 今回の小田急グループとの業務提携においては、駅構内の売店をセブン-イレブンに転換するとともに、セブン&アイグループのヨークベニマルやヨークマートなどの食品SMの運営機能を活用し、小田急グループの食品SM部門であるOdakyu OXと連携し、お互いの企業価値の向上に努めていきたいと考えております。

 少子高齢化や人口減少が大きな社会課題となっています。首都圏においては人口減少は緩やかに進むとなっておりますが、65歳以上の高齢者数は飛躍的に増えます。また、女性の活躍社会に対するサポートは大変重要なテーマであると思っております。このような環境下、CVSはもとより食品SMの潜在需要はますます大きくなってくると想定しております。

 セブン&アイグループではこのような環境を鑑み、既存の事業会社に対して、構造改革を食品事業強化として取り組んでまいりました。しかしながら世の中の変化のスピードは激しく、今まで以上にスピードが要求される時代においては、自分たちの改革だけではなく、外部の人間の優秀なノウハウと連携することによって、この社会的課題に対応していく必要があると考えております。

 エキナカ事業においては、これまで培ってきたノウハウを生かしながら、小田急商事の駅構内売店である小田急ショップや小田急マートのセブン-イレブン店舗への転換を、今後2年ほどの時間をかけて進めてまいりたいと思っております」。

【ここがポイント】セブン&アイ側としては、駅構内売店のセブン-イレブンへの転換に加え、互いのSM同士の連携に意欲を見せた。これまでの鉄道会社との取り組みから、駅構内のセブン-イレブンは時間のない中で食事を調達する場所として利用されるというメリットがある。駅構内店舗でのプロモーションが、路面店での購買につながる効果も確認している。ECで購入した商品を、消費者の生活動線上にある駅で受け取ることができるなどの利用も考えられる。

小田急商事株式会社 藤波教信社長

 

小田急沿線に約120店舗を展開

「小田急商事は小田急電鉄の100%子会社で、主に小田急沿線でSMであるOdakyu OXを26店舗展開しております。また、小田急沿線構内において、売店とCVS、合わせて約100店舗を運営している会社です。日本一暮らしやすい沿線の実現に向け、沿線のお客さまの食生活を支える、また駅構内の利便性向上に、日々努めております。2017年3月期全事業の売上高は634億円でございます」。

売店、CVSともにセブン-イレブンに転換

「駅構内に展開する売店である小田急ショップ、そしてCVSは小田急マートという呼称で展開させていただいていますが、順次、セブン-イレブンのフランチャイズ店舗に転換をしてまいります。

 小田急線は一日400万人以上の乗降がございます。その中でも乗降が5万人以上の駅が、全70駅中3分の1、23駅ございます。非常に恵まれた立地で、お客さまとの接点が非常に多くございます。

 小田急ショップと小田急マート、合わせて約100店舗を、約2年間かけまして、順次セブン-イレブンのフランチャイズ店舗に転換を推進してまいります。日々、刻々と変化するお客さまのニーズへと対応と、さらなる利便性の向上が図れると期待しております」。

2025年度に売上高1000億を目指す

「SM事業においては、複々線化による人口増加が見込まれます。特に世田谷エリア、そして新百合ヶ丘エリアを中心に、既存店はその成長、また新規店舗を出店し、ドミナントの形成を図ってまいりたいと考えております。

 こうした沿線のシェア向上、またお客さまの利便性向上に努めまして、2025年度売上高は1000億を目指してまいりたいと思っております」。