お店の問題は何だろう?

 こんにちは。コンサルタントの木村博といいます。これから『チェーンストアのマネジメント技法』というテーマで、現場ですぐに役立つ技法を紹介します。スタートは「問題管理」です。

 問題とは『解決すべき不具合なこと』です。チェーンストアの現場で働く人に、「現場の問題は何か?」と問うと、「発注改善すべきです」など対策が返ってきます。対策とは『問題を解消するためにやること』です。チェーンストアの現場で働く人は問題と対策をごっちゃにしています。

問題を明確にしないという失敗

 問題を解決できない(問題管理できない)人は対策ばかり考え、問題を考えていません。例えば、売上高が不足すると、「平台で売り込みます」「エンドで売り込みます」「がんばって売ります」と根拠のない対策を言い始めます。

 今の時代、売り込むと決めただけで、売上高が変化する訳がありません。根拠のない売り込み策で売上げ数値が動いたのは、モノ不足の時代、バブルの時代だけです。

 現場で、「今の若い人は……」という声をよく聞きますが、根拠がなくとも売れた時代を経験したベテランと売れない時代しか経験したことがない若者では、『売る』ことへ認識が違うのは当たり前です。この認識が違うことを前提にコミュニケーションしなくてはいけないのです。

 対策を考える弱点は2つあります。1つ目は問題を明確にしていないため、思い込みの対策を実施しても問題が消えず、良いことが起こりません。2つ目は過去にやったことがあること、上司から命令されることをやるため、それ以上の対策を生み出せず、成果がほとんど出ないのです。

 問題を明確にせず、対策ばかり考えていると何もいいことが起きないのです。

『問題を明確にする』ために必要なこと

 問題を構造的に説明すると、差の概念と言うことができます。把握した事実と比べる対象との差が問題なのです。

 例えば、あるカテゴリーで100万円の売上高実績があるとします。前年の売上高105万円と比べた場合、その差のショート分5万円が問題となります。比べる対象を予算売上げ110万円とした場合、10万円の差が問題。チェーン内ベンチマーク店舗(成績の良い店舗)の売上高120万円と比べた場合、差の20万円が問題となります。

 このように、比べる対象によって問題の見え方が変わります。比べる対象をたくさん持った人には、多くの問題が見えてきます。

 売上高数値で問題が明確になったら、自店の前週、自店の前年、ベンチマーク店舗、ライバル店舗、バイヤー提案、取引先情報などの売場と自分の現在の売場を比べ、その違いを探します。その違いが売上高を不足させる原因となる問題なのです。

〈まとめ〉比べる対象と視点を多く持つ

 問題を明確にするためには、事実をつかむスキル、そして、比べる対象をたくさん持つスキルが必要なのです。

 同じPOSデータや売場を見ても、問題を多く発見できる人と全く発見できない人がいますね。この違いは比べる対象と視点を多く持っているか、いないかの違いなのです。

 マネジメントの始祖P.F.ドラッカーが『あなたの職場の問題は何か?』と問い続けていることを思い出してください。