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生鮮編」「加工食品・日配品編」「非食品編」と続き、最後は「競合編」。ドン・キホーテとユニーのダブルネーム1号店「MEGAドン・キホーテUNY大口店」が開店することで、周囲の店舗はどのような対応が必要になるか。開店日の様子を交えながら、著者が解説した。

「ピアゴ大口店」を業態変更しオープンした「MEGAドン・キホーテUNY大口店」を午前中で見終えて、100m離れた「ライフ大口店」に向かう。

 

 同じ建物には「スギ薬局」も出店している。MEGAドン・キホーテUNY大口店は両店を意識し価格調査し、その価格差を売場に表示しているが、勝負は最初から決まっている。

 ライフは相手がスーパーマーケット(SM)ならピンポイントで値合わせする可能性もあるが、ディスカウントストア(DS)では対抗する術はない。消費者から見れば当たり前だが、SM、DSと業態ではなく鮮度、品揃え、価格、利便性、買いやすさなど、利便性、サービスで判断する。

 既に850m離れたところに「オーケーストア西寺尾店」があり、価格攻勢にさらされてきており、今回のMEGAドン・キホーテUNY大口店の出店により脅威は倍増されたといってよいだろう。

 正念場を迎えたライフであるが、自らの存在理由を問う絶好の機会でもある。スギ薬局も価格攻勢を受けるのは同じで、こちらもドラッグストアとして価格以外に何を提供できるのか、「調剤があります」だけでは済まされない。至近距離に店があれば、同じものなら安いところで買う。付加価値で価格に対抗するというが、価格も価値の構成要素であることを忘れてはならない。その上で安さを超える価値を提供することが必要だ。

 いったん大口駅方面に戻り、JR横浜線の線路の向こうの東口に向かい、850mの所にある「そうてつローゼン大口店」を目指す(こうしたとき、グルーグルマップは本当に便利だ。だが、頭を使わなくなる)。西口には商店街があり、それなりに機能しており、その外れにそうてつローゼンがある。

 

 店歴のある古そうな店舗で少ないが軽衣料や雑貨も扱う店舗。100円ショップもテナントに入っている。すぐそばに青果店がある。安売りである程度顧客をつかんでいるようで、「SMの前で八百屋」とはずいぶんのことだが、定番で、SMの集客力を当て込んで店を出すと繁盛する(それだけSMの青果が弱かったという話。筆者がかつて働いていた店舗の前にもあり、かなり繁盛していた。30年以上前のことだ)。

 その店の店主に話を聞くとやはりMEGAドンキUNYのオープンは知っていたが、少しは離れていることもあり、あまり気にしているふうではなく、それより「オーケーだよ」ともっと遠くの店を挙げた。

 そうてつローゼンに足を踏み入れる。レストスペースで自販機の60円のコーヒーを飲んでいると、近くに座っている老女たちの話題は病院のことばかりで、MEGAドンキUNYのことはついぞ聞かれなかった。

 

 商店街に戻り、地場SMの「横濱屋大口店」の店内に足を踏み入れる。ミニスーパーでお客はそれなりに入って、レジ稼働は2台精算する客は絶えない。モヤシ29円、ほうれん草139円、あまおうイチゴ399円、すき焼き用国産牛100g299円。こうした店はなかなかしぶとく生き残っており、MEGAドンキUNYができてもそう影響は受けないだろう。道沿いの離れたところに「松見町店」と酒のディスカウントの店舗があり、ここもそれなりにお客が入っていた。

 横濱屋松見町店のすぐ近くに小型のドラッグストア「スマイル」がある。

 

 そして「オーケーストア寺尾西店」。紳士服の「コナカ」、ドラッグストアの「クリエイト エス・ディー」、新古書店「ブックオフ」、100円ショップ「ダイソー」、イタリアン「サイゼリヤ」、牛丼「すき家」、回転寿司「おしどり寿司」もある。

 

 ワンストップショッピングの利便性を提供する商業施設だが、消費者は果敢に買い回りする。MEGAドンキUNYとは900m、車で5分もかからない場所だ。オーケーはEDLPのディスカウントスーパーとして首都圏に君臨しており、消費者の支持も高い。MEGAドンキUNYとは同じディスカウンターだが、その肌合いはかなり異なる。

「サービス産業生産性協議会」のスーパーマーケット部門の顧客満足度調査でオーケーは7年連続で1位を獲得している。寺尾西店は11台のレジか稼働していた。支持されている理由は安さだけではなく、総合的に評価されているということだ。

 MEGAドンキUNYは価格で徹底対抗しようとしているが、それだけでは勝てないと内心思っているだろう。価格バトルのヒートアップは確実だが、双方の特色を生かしたそれ以外の場外乱闘も見ものである。クリエイト エス・ディーも支持率が高いドラッグストアだ。

 MEGAドンキUNYに戻り、もう一度店内にのぞくことする。時計の針は既に午後1時半を回っている。

 行き道の途中、なかなか元気な神奈川を地盤とするバラエティストア的な性格のドラッグストアの「フィットケアマート」もあった。レジ袋を両手に抱えて歩いてくる人と何人も出会った。

 

 再び、MEGAドン・キホーテUNY大口店に戻ってきた。時刻は午後2時近くになっており、店内に入るとさすがにレジ待ちの行列はなくなっていたが、相変わらず店内は賑わっていた。

 空腹を覚えたので、カネ美食品の弁当売場に行くと、「商品整理のため半額」と店舗応援の従業員と思しき中年男性が叫んでいた。「ロースカツ弁当」398円を半額で購入し、レジで精算、レジの中年女性に電子レンジの場所を聞いて弁当を温めた。

 電子レンジは1台で無造作に置かれていた。レストスペースに座り、ラベルを見ると9時19分製造、消費期限はPM7時とあった。商品整理の意味が分からず首をかしげながら食べた。隣の熟年夫婦の夫が「何があるかさっぱり分からん」と言うと、「そうだね、また来てね、よく見てみる」と妻が答えた。夫の手にはトイレットペーパーだけが握られていた。

 地域にはさまざまな店があり、生活インフラとして機能している。MEGAドンキUNYのオープンの影響は店舗によって異なり、大波を受けるところもあれば、さざ波で済むところ、全く影響を受けないところもあるだろう。

 だが、ここで重要なのは、それぞれが自らのポジショニングや役割を改めて考えるきっかけと、自分たちの生きる道を探すことなのだが、これはMEGAドン・キホーテUNY大口店とて同じである。

MEGAドン・キホーテUNY大口店のオープンニングチラシ(裏面)
MEGAドン・キホーテUNY大口店のフロア図

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