大会史上最多となるメダル獲得数13個を記録して終えた平昌五輪。続くパラリンピックに向けてしばらく競技観戦が楽しめる日々が過ごせそうだ。この連載で先に紹介した「下町ボブスレー」は結局、ジャマイカチームに採用されず残念だったが、他競技で活躍する日本選手の姿が感動を呼び、全体として大いに楽しまれた方も多かったのではないか。

「そだねー」効果でふるさと納税が4倍以上

「そだねー」が流行語大賞候補!?とも騒がれるまで盛り上がったのは女子カーリング。日本代表として参戦した「LS北見」の地元の北海道北見市のふるさと納税の申し込みが、前年同月の4倍以上と、思わぬ経済効果にはいまだ衰えぬマスメディアの力を見せ付けられたような思いがした。

アシックス社のアウタージャケットも売れ行き好調

 今大会で活躍した選手たちが身にまとっていたアシックス社のオレンジのアウタージャケットの売れ行きもなかなか好調のようだ。あのデザインが大会前に比べ、格好良く思えてしまうのは開催期間中の露出の多さからくる視認性と、競技に奮闘する選手たちの姿が、自然と重なり合ったからだろう。

 だから「ファッション」は面白い! お客の気持ちが消費を左右した証拠ともいえる。

「アスリートファースト」に反する状況も

 そして今回は「アスリートファースト」に関する課題もクローズアップされた。競技がメインスポンサーの国のゴールデンタイムに合わせてスタートしたり、表彰式が試合終了後に改めて行われたりした点に違和感を覚えた方もいたのではないだろうか。

 それを言い始めるとキリが無いのだが、いくら極寒地とはいえ、春近しの時期に正確な受注数が見込めない状態ではアウタージャケットや防寒グッズは積み込めず、オフィシャルグッズの販売時期として適さなかった点も残念だった。

以前と比べ、便乗商法が少なくなった気がする

 こうしたイベントに、便上した商法も以前に比べて随分と少なくなった気がする。

 多額のスポンサー料を支払った企業利益の配慮といえば、当然のことと思われるし、東京五輪を前に模造品の流通などあってはならないわけなのだが……。

マーケㇽ・ジョーダンが星条旗を肩に掛けた理由

 ここで過去にスポンサー契約に関したエピソードを少し紹介したい。

 1992年のバルセロナ五輪の男子バスケットボールに「ドリームチーム」と呼ばれたNBAのスーパースター軍団が登場した。結果、連戦連勝で金メダルを獲得したがアメリカチームのウエアは当時リーボック社がスポンサー契約。だが、個人としてナイキ社と契約していたマイケル・ジョーダンは表彰式でリーボックのオフィシャルジャケットを着ないと発言して問題に。最終的にはマイケル・ジョーダンは表彰台で星条旗を肩に掛け、リーボックのロゴが映らないようにした。

 当時は本格的なスポーツビジネスに向けた黎明期で、流石に現在はこうした混乱も起こらないと思うが、五輪という国際イベントは国家が関与するほどの大掛かりなもの。

再び起こるか?「五輪に関する商標権の保護強化」

 しかし、五輪が世界中の人たちがスポーツ観戦して楽しむ祭典であることを考えると、あまり厳格に規定するのもどうだろうか。先のロンドン五輪では「ロンドンオリンピック・パラリンピック法」という特別法によって、五輪に関する商標権の保護を強化した。

 その中で権利侵害を構成する特定表現として”games”,”Two Thousand and Twelve”,”2012”,”twentytwelve”,”gold”,”silver”,”bronze”,”London”,”medals”,”sponsor”,

 ”summer”といった語句の組み合わせが禁じられた。これによると”2012 summer”というだけで違法となる可能性まであった。こうした過剰な規制がロンドン市内の活気を削いだという批判も当時はあったようだ。

活気が削がれることがないことを願う

 さて、東京五輪まであと2年。まだ特別法のような議論は出ていないものの、IOCの要求通りに必要な全ての法的措置講じられ、または講じられる予定であることを示す政府の宣言書はIOCへ提出されているそうだ。せっかく招致した国際イベントだから、ホスト国の民として活気が削がれることなく楽しめないかと思う。

 今年はサッカーのワールドカップが催される年でもある。東京五輪に向けて日本の倫理感が試されようとしている。