無形文化財に指定され、世界的な健康食のお手本となった和食。

 その理由は、食物繊維の多い穀物や“野菜”“海藻類”と“魚介”中心のバランスのとれた一汁三菜の食事です。

 しかし、現代の日本人がその和食を食べているかは別問題です。

 

 上のグラフ「世界の野菜摂取量」を見てください。

 野菜摂取量1位は“医食同源“の中国の766g。日本の倍以上の摂取量です。2位は長寿食として注目の“地中海食”ギリシャで659g。3位は”世界一肥満の少ない”韓国で548gです。

 高脂肪の割に糖尿病が少ないスペイン、イタリアも400gを超えていて、野菜と生活習慣病、長寿の相関性ははっきり見て取れます。がん患者を減らすことに成功しているアメリカは349gと日本よりも1日に50g多く摂取しています。

 日本の野菜摂取量は290g。国が設定する350gを下回り、年々減少し続けています。

 野菜不足は、糖尿病、動脈硬化、がんなどの生活習慣病の大きな原因と考えられています。比較的高い和食の塩分摂取量をカバーできていたのは、(和食に大量に使われる)野菜や海藻類のカリウムによる塩分排出力があったからです(この点も和食の素晴らしさです)。

 しかし、野菜摂取量が増えない現状では、塩分そのものを減らすように和食も変わっていく必要が出てきています。事実、日本のがん患者は増えています。

 皮肉なことに、がん疾患の減少に成功したアメリカの健康増進「マクガンバンレポート」は日本の和食がベースになっています。

 とはいえ、「みそ汁や漬物、焼き鮭は血圧が上がるから駄目」と「悪者」をつくる風潮は非常に残念です。なぜなら、これらの食品は発酵食品として腸の環境を整え、免疫を上げる非常に優れた伝統ある和食だからです。

 野菜を摂取することで塩分の過剰な“排除”は防げます。事実、長寿日本一の長野県(女性。男性は5年連続首位でしたが、平成27年、滋賀県に逆転されました)は野菜摂取が日本一ですが、塩分摂取量も上位です。

 生活習慣病予防は今や全世界的に取り組むべき課題ですが、結果だけを追い求めるあまり、和食の優れた発酵食品の味噌や漬物、塩鮭など、本来、日本人の健康を継承してきた食文化が途切れては意味がありません。

 食事の“おいしさ”には一定の塩分が必要。素晴らしい和食の歴史を守るためにも、野菜摂取の推進を強く願います。

 

今後は「中食」が国民の健康を握る!

 総務省統計局が発表した家計調査通信第527号(平成30年1月15日発行) によるとあらかじめ調理された食品「中食」の購入は増加の一途で、平成28年は昭和62年の1.7倍に増えています。

 一方、「食材そのもの」の購入は約2割減少。「外食」は横ばい。食材を購入して家庭で調理するよりも、調理された食品を利用する人(世帯)が増えていることが分かります。

魚や果物も、弁当が「絶滅危惧食材」を救うか!

 1世帯当たりの「調理食品」の品目別購入金額の内訳は弁当など「主食的調理食品」が17%増え、主食となる調理食品のニーズが高まっています。コンビニだけなく、スーパーマーケット(SM)でも、丸ごとお惣菜で食事をそろえる時代が来るかもしれません。

「冷凍調理食品」や「サラダ」の割合も増加。野菜摂取における冷凍食品や中食の役割が重要になってきました。

 特別な知識を持っていなくても、「SMのお弁当を毎日食べていると健康になる」ことが今後は求められるようになります。

「調理が面倒」「生ゴミが増える」といった問題がネックになり家庭では減少している魚や果物も、こうした生活者の困りごとが解決できれば、摂取量が増える可能性が残っています。

 そうした面でも、今や日本の食卓から滅びゆく魚と果物のチャンスはお弁当にあるかもしれません。魚に含まれるEPAによって妊娠時のうつ病が緩和されるというデータもあり、魚はメンタルの維持にもとても重要。果物は皮ごと取ることで、免疫アップにつながります。自然解凍で食べることができるイチゴやパイナップルなどの冷凍果物はじりじりと人気が出ています。

 つまり、「健康寿命の鍵は近所のSMにあり!」というわけです。

 SMは食べ物を売るだけでなく、人々が食の情報に触れる場でもあります。その売場づくりは健康づくりが求められているのです。

 今後も、こうした動向をウォッチしていきたいと思います。