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 お客さまの素朴な疑問からヒントを得て隠れた顧客期待を把握、自社の常識を覆す改善策に気付き、売上拡大に加え、工場の生産性も上げたハムメーカーの話を紹介します。

お客さまの疑問に当初、メーカーはこう答えた

 ある時、ハムメーカーのホームページにお客さまから『いつも○○ウインナーを買っていますが、時々、入っている本数が違うのはどうしてですか?』という素朴な疑問が寄せられました。

 お客さま相談室はその疑問に対し『○○ウインナーは重量規格に基づき製造している製品です。一本一本の重量が異なるため、入っている本数も異なることがあります』という回答をしました。

 このやり取りをちょっと補足します。袋売りウインナーは全ての袋の重量を統一しています。しかし、ウインナーの皮の強度がマチマチという製造工程上の理由でウインナー1本ごとの重さは異なり、袋の中には5本入ったり、6本入ったりします。

 このお客さまはウインナー袋の中に5本入りの場合と6本入りの場合があることへ疑問を持ったのでした。一方、お客さま相談室はメーカーの論理から、『製造工程上の理由でウインナーの袋の本数を統一するのは不可能です。ご容赦ください』と謝罪の気持ちを表したのでした。

お客さまの疑問の背景や理由を想定してみた

 このメーカーは折角、お客さまから頂いた声に現象的対応をするだけでは申し訳ないし、もったいないと考え、このお客さまがこの疑問を持った背景や理由を想定することにしました。

 本社の男性社員ではこのお客さまの気持ちを想定できないため、本社の営業企画の奥様たちにも協力をお願いしました。

 すると、思ってもみない意見が寄せられました。

 子供さんを2人持っている奥様の意見です。『ウインナーはお弁当のおかずの代表格です。うちは子供が2人おり、5本入りのウインナーの時、お兄ちゃん3本、弟に2本だと、弟は不平を言います。そこで公平を図るため、お弁当に入れるウインナーは2本ずつ同じにしています。袋に奇数本入っているといつも1本余ってしまうのです。このお客さまも同じ気持ちがあったかもしれません』

 この意見を聞いた本社社員は一同、顔を見合わせました。そして、自分たちがメーカーの論理のみで考えていることを反省しました。

実は工場も業務効率が悪いことに悩んでいた

 そこで、このウインナーの袋に入れる本数を偶数本で統一することを決め、工場と交渉することにしました。工場としては生産の考え方、工程を一から見直すこととなるため、説得が大変だと本社社員は予想しました。

 しかし、工場ではウインナーの袋重量統一のため、重量の違うウインナーの選別が大変で業務効率が悪いことに悩んでいる最中でした。工場は積極的に改善策を立案、袋入りウインナーの偶数本入り統一を実現したのです。結果、売上は拡大し、工場の効率も上がり、市場で確固たる地位を確保しています。

 このメーカーはお客さまの声から隠れた顧客期待を読み取り、自社製品の改善、営業サービスの向上、工場の生産性アップを推進しています。