前回の「『週1ひとり鍋』で免疫をアップさせる!」で鍋が優れた料理であることはお分かりいただけたと思います。

 では、なぜ、鍋の中でも「ひとり鍋」に注目するのか。その理由を紹介します。

(1)鍋に求めるのは「団らん」よりも「自分の健康」

 単身者の増加や時間がない現代のライフスタイルで、家庭料理を食べる機会は減り、食事には時間やお金をかけられないのが現実です。一方で、社会のストレスや環境の変化、溜まっていく疲れ、将来の不安――― 漠然とした 健康ニーズは高まっています。

 こんな日常だから、どうせ家で食べるなら健康的なもの、せめて野菜を食べたい。単身だからこそ自分の健康を守るのは自分しかいないという危機感もあるのでしょう。

「体を温めて」「野菜食べて」健康になりたい。そんなとき、家族がそろわなくても、ひとりで好きなときに食べられるから楽。そんな時代の空気に寄り添っているのが「ひとり鍋」です。

〈データ〉「ひとり鍋」が生活に溶け込む背景―1人サイズの鍋つゆの商品開発が活発化

「ひとり鍋」がより食べやすく、生活に溶け込んでいく背景には、1人サイズの鍋つゆ市場の広がりがあります。

 従来、鍋のつゆ市場の主流は、容量750mlの3〜4人分向けの使い切りタイプでした。しかし、2010年以降、少子高齢化や単身世帯や夫婦共働きの増加などの背景から「従来のサイズは使い切れない」とユーザーの不満の声が挙がるようになり、1人前サイズが発売されました。

 味の素2012年8月に発売した「鍋キューブ」は、2015年度の売上げが初年度の3倍。それに続き、エバラ食品が2013年に発売したポーションタイプの鍋つゆ「プチッと鍋」シリーズも、発売初年度の売上げ9億円が2015年度は27億円と伸び続け、2016年度は35億円(いずれも出荷ベース。2015年以降はポーション調味料の売上げも含む)というヒット商品に。キッコーマンは2016年8月「キッコーマン Plus鍋」シリーズ、にんべんも、2016年9月「“だしが世界を旨くする”こだわり鍋シリーズ」3品を発売。ストレートタイプの鍋つゆではシェアトップのミツカンも、2015年に人気の「こなべっち」シリーズを1人前サイズで発売しました。

 こうした背景もあり、「ひとり鍋」は生活に自然になじんでいるのです。

図表① 鍋料理を食べたくなるきっかけ

出典:2016年8月24-9月9日ネットリサーチDIMESDRIVEモニター4131SS

(2)「単身」「働き世代」の2割が「ひとり鍋」経験者

「家族鍋」はいまだに主流。鍋は家族や親しい人たちとの「団らん」、特別な「ハレの日メニュー」としても健在です。その一方で全体の2割は「ひとり鍋」も食べています。

 鍋料理は、「家族と」以外のシーンで男性が高い傾向にあります。注目したいのは20~50代の「働き世代」中心に総じて2割が「ひとり鍋」の経験者であること。一方、女性は20代と70代以上が「ひとりで」鍋を食べる比率が多く、「ひとり鍋」が単身世帯の食卓に多く並んでいることが分かります。

図表② 鍋料理を誰と食べることが多いか

出典:2016年8月24-9月9日ネットリサーチDIMESDRIVEモニター4131SS

 この結果から、「ひとり鍋」では「単身」「働き世代」のキーワードが浮上します。この2つは現代のキーワードですから、ひとり鍋が今後、ますます増加が期待できるのは、確かでしょう。