セルフオーダーの注文画面

 3メガバンググループ(三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行、みずほ銀行)がQRコード決済への参入を発表した。

 ようやく日本でも「キャッシュレス化」が進みそうな流れだが、ご存知の通り、中国は既に「キャッシュレス化」が浸透し、コンビニ、スーパーマーケット、飲食店はもとより、地下鉄や市場、自動販売機から路上の物売りまで、全てQRコードを使い、キャッシュレスで支払いができるようになっている。

 既に、現金を使っているのは外国人旅行者ぐらいだと言っても過言ではない状況である。

 この傾向は、中国のみならずシンガポールはじめ、ヨーロッパ各国でも顕著で、世界的な潮流であると言える。

「支付宝」「微信」の取引額は1190兆円とも1360兆円とも

 中国の「キャッシュレス化」は、2004年にアリババがサービスを開始した「支付宝(アリペイ)」、2013年にサービスを開始したテンセントの「微信(ウィーチャットペイ)」の2社が市場を開拓、牽引してきた。

 その取引額は既に70兆元(約1190兆円)とも80兆元(約1360兆円)とも言われており、中国は現地点でキャッシュレス社会(モバイル決済)の最先端を走っていると言える。

 日本の一部報道ではこの風潮に対し、「個人情報保護の問題」「セキュリティーの問題」「スマートホン(以下、スマホ)を使えない高齢者や、購入できない経済的弱者を置き去りにしている」等、批判的な論調もあるようだが、少なくとも筆者が中国で生活している肌感覚からすると、そのような指摘は中国を知らない人間が外部から言っているようにしか感じられない。

中国の携帯電話普及率は2017年に100%を超えた!

 まず、最も問題視されている「個人情報保護」に関していうと、そもそも管理社会の中国では、日本のようなプライバシーの概念は存在していないし、保護もされていない。

 個人情報がダダ漏れでも「没办法(メイバンファ:どうしようもない)」なのだ。

 また、スマホを所持していない人はどうするのかという問題だが、中国の携帯電話の普及率は2017年に100%を超えたとされ、既に数値上は全ての人が携帯電話を保有している社会となっている。

 日本と異なり、ガラ携の時代がなかった中国では、現在保有されている携帯電話のほとんどが、既にスマホなのである。

 なぜ高価なスマホを皆が所有できているのかと疑問に思う方もいるかもしれない。

 実は、スマホが登場する前から通信会社が通信料金とセットで携帯電話を販売してきた日本と比べ、SIMフリーで販売してきた中国の携帯電話は高価であった。

 驚くべきことだが、感覚値でいうと現在、中国人にとってスマホはかつての携帯電話ほど高価なものではなくなっているのだ。

 もちろん、「HUAWEI」「OPPO」「VIVO」といった比較的安価な中国製のスマホの台頭が、大きな後押しとなったことも間違いない。

セルフオーダーシステムの使い方はとてもシンプル

セルフオーダーの会計画面

 中国で、「キャッシュレス化」の普及とともに、飲食の分野で現れ始めた「メニューレス化」という新たな潮流をご存知だろうか。

 スマホ端末が皆に行き渡り、支払い決済ができるようになったことで、新たに頭角を現し始めたのが、このメニューレスのセルフオーダーシステムである。

 使い方はとてもシンプルで、席に着いたら自分のテーブルにあるQRコードをカメラで読み取り、人数とオーダーしたい商品をスマホの画面から選んでいく。

 それが済むと決済画面が出てくるので、先払いでスマホにて支払い完了。QRコードに席番号が組み込まれているので、注文した商品は店舗の従業員によって運ばれてくるシステムだ。

セルフオーダーシステムが飛躍的に普及する4つの理由

 実は、このオーダーシステム。システムが誕生してからは既に大分時間が経過している。これまで激しい競争の中、各飲食店がサービスに力を入れてきた結果、従業員を呼んで注文する方が、やはり手取り早かったのだ。

 これまで普及が進まなかったことから、今後の普及について疑問符を打つ人もいるだろうが、筆者は一部の高級店を除けばその普及は飛躍的に進むと考える。

 その理由は大きく4つ

(1)人手不足と人件費高騰に悩む店側のメリット

(2)態度の悪い従業員に当たる確率がなくなるお客側のメリット

(3)先払いに抵抗のない中国人の習慣

(4)テイクアウトアプリと同じ要領で使えるためストレスがない

 特に(4)のテイクアウトアプリが急成長しており、現在、「餓了么」「美団外売」「百度外売」の3社でその市場の70%以上を占めている。

マクドナルドのタッチパネル

 これら3社のアプリと同じ要領で注文から支払いまで行えるため、全くストレスなく注文が行えるのだ。

 経営を圧迫している人手不足と人件費の高騰も、セルフオーダーシステムの普及を大きく後押しするだろう。

 マクドナルドやケンタッキーでは、スマホでの注文に加え、巨大タッチパネルで注文し、スマートホンの支付宝あるいは微信で精算するセルフレジの設置も進んできた。

 理論上、今後は回転寿司のような業態でも、タッチパネル等ハードへの投資が必要なくなってくるはずである。

 キャッシュレス化から始まった、中国の飲食店のIT革命はまだ始まったばかり。今後、どのように進化していくか注視していきたい。