2020年4月の「栄養成分表示の全面義務化」の準備はできていますか?

 これは単に表示が増えるだけではありません。消費者にも商品をつくる事業者にも多大な影響を与えるのです。

 ここで、スーパーマーケット(SM)で販売されているもので表示対象となる商品は何かを考えてみましょう(皆さんのお店にある商品を思い浮かべながら読んでください)。

 弁当・惣菜コーナーでは店内製造・加工品、ばら売り商品以外は必要。青果売場ではドライフルーツなどの純粋な加工食品の他、カット野菜ミックスやカットフルーツミックス(生鮮食品が混合されたものも加工食品扱い)も店内加工品でない限り、対象になります。

 鮮魚売場では、店内加工品でない刺身の盛り合わせや蒸しダコのように加熱された鮮魚介類、塩サケやシラス干しなども、ばら売りでなければ表示が必要。店内でバルク商品を小分けしても、店内加工品とは認められないので、表示対象になるのは、前回、解説した通りです。

 同様に、精肉売場でも、タレ付き肉や衣を付けた豚カツのような半調理品も対象になります。日配品でも、練り製品・豆腐・納豆はもちろん、漬物や水煮など、ばら売り商品以外には全て表示が必要になります。

 意外に多いでしょう?

水面下に隠れていたものが一気に表面化する

 小売店で販売されているもので圧倒的に多いのは加工食品です。売場にある多くの商品に栄養成分表示がされるということは、消費者が栄養成分表示を目にする機会が格段に増えるということ。実は、ここに小売企業・店舗がお客さまから選ばれる存在になれるか、重要なポイントがあります。

 栄養成分表示があまりされていない商品の代表に、和菓子・洋菓子があります。饅頭を1個だけ包んで販売されることもよくありますが、表示可能面積が30㎠より大きければ、栄養成分表示をしなければなりません。

 もし、同じような饅頭が2種類店頭に並んでいた場合、あなたは栄養成分表示を見て、どのような行動をとりますか? 商品を裏返してカロリーを比較して低い方を買うのではないでしょうか。複数のコンビニに同じようなイチゴのショートケーキがある場合も、表示カロリーの低い方を選ぶという消費者も出てくるでしょう。

 コンビニでは、既に多くの商品に栄養成分表示がされていますが、SMではまだ意外と少ないのが現状です。小売店でほとんどの商品に栄養成分表示がされてくると、否が応でも消費者の目には栄養成分表示が飛び込んできます。消費者の多くは、表示されていないことは気にしない(意識しない)わけですが、表示されているとどうしても気になる(意識する)ものなのです。

 つまり、今回の改正は、消費者にはベールに包まれ水面下に隠れていたものが、一気に表面化するという大きな出来事なのです。

 食品表示法制定によって、「食品表示の見える化」が促進されています。特に、健康に大きな影響を与える数値(カロリーや糖質、塩分など)が明らかにされており、同じような商品であっても、製造者や小売店の違いで付加価値に差が出てくるようになるのです。

表示するのは最低限の対応、品揃えまで踏み込もう

 栄養成分表示が、消費者にとって、商品の良しあしを見分ける大きな判断基準にもなるわけですが、これは商品開発や品揃えの違いが消費者に支持されるかどうかの差になるということでもあります。

 そうなると、栄養税分表示を他人任せになんかしておけないはずです。表示されているかどうかの確認だけではなく、どういう商品を作るのか、仕入れるのか、あるいは「こういう商品が欲しい」と社内外に伝えるのか、一歩も二歩も商品に近づいて自社・自店の品揃えを決めていく絶好のチャンスでもあるのです。

 栄養成分表示は「何に表示をしなければならないか」「何をばら売り(表示対象外)にするのか」から始まり、「費用対効果を見極めて誰がいつ表示をするのか」を決めなければなりません。そして、一番肝心なことは、消費者が買いたいと思う栄養成分表示の商品を、どうやって誰が作るのか、あるいはどこから何を仕入れるのかを決めることだと、今回説明しました。

 栄養成分表示対象商品に栄養成分が表示されていなければ、法律違反で販売できません。2020年3月まで、まだまだ余裕があると思っていたら、取り返しのつかないことになりかねません。表示をすることは最低限の対応で、さらに品揃えにも踏み込んだ対策を講じることが今、求められているのです。