連載『磯部孝の業界コラム「ファッションPLUS」』でファッション分野を中心に問題提起をしている著者が、ストライプインターナショナルが渋谷に開業した「hotel koe tokyo」の3人のキーマンを直撃した。このホテル併設型グローバル旗艦店はどのようにつくられ、どこに向かおうとしているのか?

岡田茂宏 Hotel KOE Tokyo総支配人に聞く「意識する競争相手」

 

――今回、ストライプインターナショナルとしてホテル事業を初めてやると思うのですが、さまざまなホテルがある中で、特に参考にしたホテルはありますか?

岡田 日本のファッション業界でも初めての試みでございまして、しかも「koe」というブランドに合ったホテルは日本にはなく、ニューヨークまで行きました。パブリックホテルやエースホテルを参考にしたり、あとはニューヨークのデザイナーズホテル等を見て回りました。

――渋谷にはたくさんホテルがありますが、結構、宿泊の需要が見込めるのでは。2020年には東京でオリンピックもありますし。ズバリ目標稼働率は?

岡田 最初の目標として100%で取り組もうと考えていますが、この空間を適切に保つには大体70~80%あたりがちょうどベストかなと思っています。ありがたいことに、実際は満室の日もございまして、われわれも少しびっくりしているくらいの予約をいただいています。多くのお客さまになるべくこの空間をお楽しみいただき、維持できるように努めていきます。

――直近の数字だと、東京エリア全体のホテル稼働率は90%となっていますが、それに比べると随分と目標を低めにおっしゃっていますね。

岡田 いやいや、もちろん目標は100%ですよ。今ではほとんど90%超えの日が多いんです。今はオープン前でございますが(編集部注:取材は2月6日)、目標というよりは少し現実を見て。最初は皆さんにオープン価格の宿泊料金を設定させていただいて、より多くの方に利用・体験していただくことを優先に考えています。

――平均単価はどれくらいを考えていますか?

宿泊者専用のプライベートラウンジでは夜の7時から深夜1時までアルコールを提供する。

岡田 今、オープン価格で少しお安くさせていただいているのですが、通常は一番小さい18㎡のスタンダードルームが定価で3万6000円からとなっております。付加価値としまして、宿泊者専用のプライベートラウンジをエクゼクティブラウンジのように使っていただけるというサービスもございます。あと夜の7時から深夜1時までお客さまにアルコールを提供しております。そうしたことを考えると、大分お値段としては魅力的ではないかなと思います。一番大きなお部屋で25万円でございます。

――渋谷エリアでたくさんホテルがある中で、コンペティター(競争相手)として意識しているホテルはありますか?

岡田 コンペティターといいますが、今後、仲良くしなければいけないホテルがトランクホテルさんですね。トランクホテルさんはブティックホテルという新しい業態で、われわれの進みたい方向性を考えるとトランクホテルさんではないのかなと。

――グローバルエージェンツという会社がザ・ミレニアルズを「hotel koe tokyo」の目の前にオープンしますね。ザ・ミレニアルズはどちらかというと、オシャレ・ワンルームというか、オシャレ・カプセルホテル的で、しかも共用部が占めるウエートが高く、こちらとは少し違うという気がしています。しかし、「hotel koe tokyo」で取りそろえている洋服のプライシングなどを考えると、どちらかというとザ・ミレニアルズの方が雰囲気は近いのかなと感じているのですが。

岡田 正直、そちらのホテルさまは当館としては全く業態が違いますので気にしていないのが現状です。「koe」のブランドの中ではホテルは全く違うものとして意識しています。もちろん、1つの事業部内でありますが、1階、2階と3階のホテルとは全く別世界の雰囲気を感じていただけると思います。

――私が感じたことですが、入り口が1カ所で、しかも入ってすぐのところにDJブースとキャッシャー、レセプションが一体になっている。そこでレセプション手続きをして、上のフロアへ上がっていく。すみ分けが難しいのでは。

岡田 そこは最初のチャレンジになると思います。実際にオープンして経過を見つめて、改めて考えていきたいと思います。

――価格帯に2面性を持つ点は新しい事業として面白いアイデアだと思いますが、既存のラグジュアリーホテルのイメージくらいしかない人からすると、ちょっと違和感を覚えるかもしれないですね。

岡田 お泊りいただくお客さまに関しましては、ホテルがある3階でもチェックインできるような形にしています。エグゼクティブラウンジと同じく、お好きなものを1杯飲んでいただいている間に、全て整えるというサービスで対応します。お客さまに自由にお選びいただけるような形にしたい。私もずっとホテル業界で働いてきましたけれど、常にお客さまに柔軟に対応していかなければいけない。そうしたことが今後も出てくると思います。