メダルラッシュの続く平昌五輪。日本人選手の頑張りに歓喜や誇りを持てる日々が日本国中で広がっている。

 五輪といえば、近頃 大都市圏ではスポーツバーなどでの観戦も増えたが、基本は自宅でのテレビ観戦が一般的で狭小商圏をターゲットにするコンビニにとっては売上げが上がる一大イベントのはずだが、平昌五輪はそのような恩恵が少ないらしい。

時差がないため、コンビニにはうまみが少ない

 コンビニ関係者に話を聞くと、「欧米で開催されるオリンピックは時差があり、深夜や早朝に競技が行われると24時間営業のコンビニと相性が良かったが、今回は時差のない韓国・平昌での開催でうまみが少ない」とのこと。

 ただし、ビールやチューハイなどのアルコール飲料やカウンターファストフードは、五輪の期間前と比較して20%増と好調に推移しているようだ。夜の競技の応援はアルコールでリラックスしながら観戦ということなのだろう。

 また、日本人アスリートが金メダルを取った翌日などは通常の約3倍、スポーツ新聞が売れている。とはいえ、10年強前のコンビニの新聞売上げは1日約5000円(年間平均)だったことを考えると、今はそのおよそ半分になっており、スマホのSNSやまとめサイトから速報情報を取り込むという流れが加速していっているのは間違いない。

昔はあった「観戦ガイドとVHSのコンビニでの購入」

 雑誌売場でも、かつては五輪観戦ガイドが複数の出版社から発売され、売上げを競っていたが、今ではそのような光景も無くなった。

 時差のある地域での五輪の場合には、観戦ガイドとVHSのビデオテープをコンビニで買い、万が一の見逃し対応や録画したものを朝に観るための消費もあった。

 

 ビデオテープではVHSとベーターマックスの規格戦争があり、1980年中頃にはVHSが規格競争に勝ち残り、そのビデオテープの販売が2000年代前半まで続いた。

 全盛期にはコンビニの店頭で120分テープを中心に10SKU前後の品揃えがあり、五輪期間中には長尺と呼ばれる160分や180分の商品や3巻パックなども限定発売。ビデオテープは平均単価が700円前後と高いため、コンビニの五輪期間中の売上げを底上げしたものだった。

 VHSのハード機器は全世界で約9億台以上が普及し、VHSビデオテープは約300億巻発売されたのは、今は昔のこと。その後、DVDやBlu-rayが発売されたが、大容量が録画出来るDVDレコーダーやBlu-rayレコーダーにとって変わられ、そして平昌五輪ではNHKがオンデマンド放送を無料で行い(会員登録が必要)、競技を好きな時間に観ることができるようになった。

 雑誌も音楽も映像も今やオンデマンドでの配信となり、コンビニを含め、小売りでの物販は終焉を迎えようとしていることを平昌五輪で改めて気付かされた。

東京五輪に向けて「キャッシュレス決済」対応

 平昌パラリンピックは続くが、五輪の終幕も近く、コンビニ本部は2年後の東京五輪に向けての体制を整える時期に突入する。

 東京都内では、五輪関連施設の建設やインフラ整備により、開幕までは店舗立地にもよるが、ガテン系のお客さまの増加に伴う売上増が続きそうだ。

 また、2020年には訪日外国人を年間4000万人迎える体制も整ってくるであろう。

 

 特に、全世界で主流となりつつあるキャッシュレス決済の体制作りが五輪開催期間中のコンビニ売上げの成否を握ると言われている。

 中国人観光客の対応になるが、ローソンでは2017年1月からアリペイのスマホ決済を全店舗で基本取り入れ、ファミリーマートでもアリペイを2月13日から現状の倍の163店舗で、96店舗でもウィーチャットペイの展開もスタートさせた。

 今後は、コンビニ各チェーンが、さまざまな課題解決しつつ世界各国のスマホ決済の取り込んでいくことが推察される。

コンビニATMも「日本円のインフラ」になる

 

 現金決済が主流というのは、日本の治安の良さの象徴ではあるものの、経済産業省では日本国内におけるキャッシュレス決済比率を現状の2割から2027年には4割に持っていくとの目標を持ち、コンビニでも現状の20〜30%が東京五輪の訪日外国人対応を契機に一挙に上昇するきっかけになると考えられる。

 現在、セブン銀行のATMは海外で発行されたキャッシュカードやクレジットカードなどで日本円を引き出せるサービスを提供。利用者から好評を得ていることから、コンビニATMも「訪日外国人の日本円のインフラ」としても機能していきそうだ。

日本のコンビニに訪日外国人が驚愕する!?

 今後、東京五輪までには「成人誌の取り扱い有無」「受動喫煙の法規制の行方」「ナイトエコノミーの取り込み」などコンビニはさまざまな対応が検討されていくものと思われる。

 コンパクトな店舗の中でバラエティに富んだ3000品目を品揃えし、品質レベルが高くて買いやすい価格の中食(おにぎりやサンドイッチ、ベーカリー、カウンターファストフード)を販売し、おまけにトイレも貸してくれる日本のコンビニ。今東京五輪に向けて、さらに進化するであろうことを考えると、今まであまり来日していなかった世界の国々からの訪日外国人も含めて、大きな驚きを与えることは間違いない。

 東京五輪以降、進化した日式コンビニが世界のコンビニのデファクトスタンダードに向けて動いていくのではないかと考えられる。