今までにない急速なスピード感で自動化技術の進展が始まった。私たちの身の回りで感じるのは店舗でのレジの自動化で、つい先日もトライアルカンパニーとパナソニック、Remmoによる革新的なスーパーマーケットが福岡にオープンしている。

 その「スーパーセンタートライアル アイランドシティ店」では、トライアル開発の商品動向を分析できるスマートカメラと、パナソニックが開発した顧客の動きを分析できる「Vieurekaプラットフォーム」を使ったスマートカメラを店内に計700台設置。分析結果を元に商品の見つけやすさや品揃えを改善し、商品棚の欠品を防ぐという。

 また、レジ待ちをなくすためにRemmoとの共同開発で生まれたタブレット決済機能付きのレジカートも導入されており、これにはレコメンド機能も搭載されている。

 今後は既にセルフレジ導入済みの企業も含めて、急速にレジの自動化シフトが進んでいきそうな勢いを感じる。

「Sewbots」では22秒でTシャツが1枚つくれる

 現在の自動化に向けた流れは、人工知能(AI)技術が合わさることによって、より高次元な作業レベルにまで浸透しつつあるのが大きな特徴だ。

 米国国防総省の下部組織で、インターネットを発明した国防高等研究計画局(DARPA)は、軍の年間被服費予算40億ドルを削減していく狙いでソフトウエア・オートメーション社に衣類製造に掛かる手作業を完全自動化するプロジェクトで補助金を交付した。

 そうして開発されたロボット*Sewbotsは、Tシャツなどパーツ数の少ない商品に今は限られているものの、ミシンを使ってセミオートで縫われていた衣類の縫製作業の自動化に成功した。いち早くこのSewbotsを導入した、独アディダスの米国アーカンソー州のスマートファクトリーでは22秒にTシャツが1枚生産され、大幅な省人化と生産の精度、スピードの向上を実現。将来は21の全自動生産ラインを設ける予定だ。

 このスマートファクトリー化に向けた流れは、巨大衣料品製造国の中国でも大規模投資をしてでも追随していくことが予想されるが、これからは消費国にスマートファクトリーが産まれる可能性も考えられる。衣料品価格の下落から遠い海外での生産を余儀なくされている現状を、このスマートファクトリーによって企画から生産までのリードタイムの圧縮、輸送コストの軽減、品質リスクの回避といった改善につなげられるかもしれないからで、消費マーケットの近くで生産できるメリットには多くの企業が魅力に感じるだろう。

モノに対する価値観がますます低くなる?

 こうした省人化があちこちで始まると、正に『限界費用ゼロ型経済』が広がっていくことが想像できる。しかし、一気に広がりはしないだろうから、旧来的なマニファクチャーと共存していく状況が続くだろう。

 そして、もう一つ大きな消費トレンドとして見過ごせないのが『シェアリング型経済』に代表されるスマート消費だ。この考えの究極は消費者が3Dプリンターを使って商品を作り出してしまえることによって、究極の『限界費用ゼロ型経済』が実現してしまうことだ。

 それはプロシューマー(生産消費者)が数多く誕生するということで、そうするとモノに対する価値観がますます低くなってしまい、所有欲や経済的な成功といったことまで目指さなくなる社会が産まれる、という仮設まであるほどだ。

子供服の循環させるビジネスをするスレッドアップ社

 既にアパレル業界でも割安な定額制プランでレンタルできるサービスや、メルカリの普及によって活性化に拍車が掛かったリユース市場。米国のスレッドアップ社(Thred up)の調べによると子供が17才までに着られなくなってしまう衣料品の数は、平均1360枚以上に上るそうだ。

 2009年に創業した同社は、すぐに着られなくなってしまう子供服の交換サービスとしてスタートした。親は子供が着られなくなった衣服をスレッドアップの専用袋に入れて玄関前に置いておく。スレッドアップはその袋を回収(送料を負担する)。衣料品が別の家庭にもらわれていくたびに、それを提供した親の口座(スレッドアップのオンラインに設けたもの)にお金が貯まり、今度はそれを使って大きくなった子供のために新たな『古着』を購入する。

 古着を最大75パーセントも値引きするので、お下がりとして商品は次々に人手に渡って何度も活用されるそうだ。今では取扱商品はレディスまで広がって、フォーブス誌の試算によると2017年の売上高が1億ドルに到達する見込みだという。