ある百貨店が見えづらい顧客期待を把握し、白いコートを日本一売りました。その理由は売場の従業員がお客さまの買物行動を観察(その気で見る)しただけだったのです。

白いコートを日本一売った百貨店が行ったこと

 若い女性の間で白いコートがはやった時期がありました。そのとき、ある百貨店が日本一、この白いコートを販売したと言われています。そのきっかけはとっても簡単なことでした。

 そろそろコートも欲しくなる11月初旬に起きたことです。平場の婦人コート売場で若い女性が白いコートをじっと見ていることに売場の従業員は気が付きました。

 コートは風合い、着心地が大事ですから、いつもであればお客さまはコートを触ります。しかし、この若い女性は白いコートを触ろうとせず、じっと見ているだけでした。

 このことに気が付いた従業員はバックヤードで『若い女性が白いコートに触らないで、じっと見ている』現象を話題にし、みんなで『なぜだろう?』と考えました。

若い女性の行動から2つの気持ちを想定した

『若い女性が白いコートに触らないで、じっと見ている』という行動から、この若い女性の2つの気持ちを従業員は想定しました。

 1つ目は『白いコートは触りたいけど、触りづらい』という気持ちがあるかもしれないというものです。本来であれば、『コートは触って風合いを確かめたい。しかし、白色は汚れが目立つ、触って汚してしまったら、まずい』という気持ちがあるから、触らないでじっと見ていたのではないかと想定しました。

 2つ目は『買いたくない商品まで買わされてしまうかも』というお客さまの気持ちです。百貨店は接客販売をしているため、売場には必ず接客する従業員がいます。その中には、『売らんかな』の態度が強く出て、お客さまが望んでもいないのに、「いかがですか?試着しませんか?」の余計な声掛けをしてきます。

 お客さまの近くにこの『売らんかな』の従業員がいて、触った白いコートが偶然汚れていたら、『この人に買いたくないコートを買わされてしまうかもしれない』という気持ちがあったから、この若い女性は白いコートを触らず、じっと見ていたのかもしれないと想定しました。

『触ってください』のPOPを付けた

 このようなお客さまの気持ちはお客さま自身が積極的には言ってはくれません。もしかしたら、お客さま自身も気が付いていないかもしれません。無意識

のうちに白いコートを買わないことになってしまうこともあるでしょう。

 この百貨店では『白いコートは触りたいけど、触りづらい。何とかならないかしら』という顧客期待をお客さまの『白いコートをじっと見ていた』という若い女性の行動から把握しました。

 その結果、コートの全売場で『触ってください、是非風合いを確かめてください』のPOPを添付、白いコートに触っていただくことを徹底しました。そしてコートを日本一売ったのでした。