今年に入って早いもので、あっという間に2カ月が過ぎ去ろうとしている。平昌五輪もいよいよ大詰めとなり、西日本の太平洋側でも2cmの積雪を記録した3連休も終え、バレンタインディも終わった今、ふと外を眺めて見るとあちこちで中国人の姿に出くわす。

 そう、15日から春節(旧正月)休みに入っているのだ。

 日本とは異なり、中国の休日は毎年、中国政府の国務院から発表され、国営・民間企業とも、そのカレンダーに合わせて休日を設ける。今年の旧正月は16日の金曜日で15~21日の7連休が政府発表の休みになる。

 主要都市や工場で働く人の多くは地方からの出稼ぎ労働者で、一部の高給ホワイトカラーを除く一般労働者たちは列車や長距離バスを乗り継いで故郷に帰る。

 世界4位の国土面積を持った国だから、帰省だけに数日を要することも珍しくない(それでも今は鉄道を含めたインフラもかなり整備されてきて、依然ほど日数がかからなくなった)。

 この春節の前後40日間で移動する延べ人数は約30億人というから、桁違いだ。

事情や動向が違うので、ひとくくりでは語れない

 2017年度の訪日外国人数は2869万人で19.3%伸びている。国別で見ると、中国からが1番多く736万人、次いで韓国が714万人(前年比40.3%増の高い伸び)、台湾が456万人、香港からは223万人と、実に75%近くがアジア近隣国からというのが現状だ。

 そして、このアジア近隣国の全てで、旧正月を採用しているのだから、さぞや大挙して日本に来てくれるものかと思いきや、そうでもなさそうだ。

 月別に見ると、2月の入国者数は5番目ほどの高さで決してハイ・シーズンとはいかないようだ。入国者の一番多い月は8月で、次いで3月、9月と続く。8月は先の政府指定の休日はないから、夏期休暇を取って来日するケースが多いのだろう。

 まぁ、中国人の場合、訪日のための査証発給要件を緩和したといってもまだまだハードルは高く、十分な経済力を持った人しか日本観光はできないのだから、夏期休暇も取りやすい富裕層が中心と思われる。

 3月の訪日客が多いのは最近、日本の「お花見」が話題になっていると聞く。恐らく欧米人、香港人を中心にイースター休暇など利用して、日本の独特な文化を体験しに訪れるケースが多いのではないか。

 先にも触れた韓国からの訪日客の急増は、LCC(格安航空券)の新規就航便の増便と、中国、四国地方に向けたプロモーションの効果が挙げられる。私は毎年、夏期休暇を鳥取県の米子市で過ごすことが多いのだが、そういえば市内地図を表す看板や店名にハングル文字が併記されているのを見掛けた。

 台湾では夏季の需要増加を見込んでクルーズ船やチャーター便が運航。その観光客に向けて東北、中部地方をはじめとする地方のPRを行い、リピーター層のさらなる地方分散化に力を入れている。

 このように月別・国別に見ても事情や動向が異なるのだから、インバウンドとひとくくりには考えられない。「爆買い」の多くは2次的流通を目的とした購入も多かったろうし、一般の日本人にとって訪日する中国人(富裕層)、台湾人、香港人の見分けなんて不可能だ。

 しかし、この3地域にしてもそれぞれが外国のように経済事情も文化や価値観も違うわけだから、まぁ、そんな話を始めると欧米人も皆、違ってくるのでキリがない。

日本の化粧品はついに輸入を輸出が上回った

 こうしていろいろと見ていくと、結局、インバウンドビジネスの「売り」って、日本的な物や日本オリジナルに落ち着いてしまう。まぁ、「お花見」「抹茶」「炊飯器」は全て日本文化を感じさせるコンテンツではある。

 では、ことファッションで日本的となるとイメージは和装だろうが、日本人の大半は着ていない。リアリティに欠けるといわれてしまいそうだ。特に最近のヤングカルチャーに関しては、韓国の方が遥かにファッションや音楽などパワフルで勢いがあって刺激的だ。

 何が日本のファッションってことになると、結局、アジア近隣国の人たちから見れば「ユニクロ」「無印良品」ということになってしまう。私も数年に渡って上海を拠点に中国人とよく、日本のファッションについてディスカッションをしたが、そのときによく言われたのが「日本人はセンスが良い」「お洒落だ」ということ。

 資生堂の化粧品はいまだにアジア近隣国でも人気だし、日本の女性は皆、化粧がうまいと思われている。ナチュラルメイクといえば「日式化粧」として認知度は高いし、日本の化粧品はついに輸入を輸出が上回ったそうだ。

 そうなると、インバウンドに向けたファッションのキーワードは、『センス良く高品質+『値頃感』だろうか。現実問題、ブランド品以外で洋服にまでは、なかなかお金は使わないだろうから。