作業服の持つ機能性を生かしたスポーツ、アウトドア用衣料を展開する(2018年 ワークマン春夏展示会より)

 ㈱ワークマン(本部:群馬県高崎市、チェーン全店年商742億円、店舗数797店*2017年3月期)というと作業服の専門店のイメージがあるだろう。ベイシアグループ傘下にある同社は「作業する人のコンビニ」と呼ばれるほどに建築・工事関係者をターゲットにした商品構成と売場を展開している異色チェーンである。約100坪の広さの店内には作業服を中心に足袋、軍手、安全靴などが所狭しと並ぶ。

 そのワークマンがアウトドアとカジュアル衣料の分野でも存在感を発揮し始めている。

 2月6日に開催された春夏向け展示会でアピールされた商品では、通気性、伸縮性に加え、黄色、黄緑の蛍光色までそろえたパーカー、ハイテク素材を用いたジップアップ、ハイネック、軽量をアピールしたスニーカーなどが提案された。いずれも作業現場以外の普段使いもできる商品だ。

堅調な既存店の伸びに忍び寄る「ネット競合」

 目下、ワークマンの業績は堅調だ。2月7日に発表された第三四半期決算では全店売上高624億4100万円(前年同期比107.3%)、経常利益94億200万円(同108.4%)となっており、通期の純利益ベースでは7期連続の最高益達成の見込み。既存店売上高の伸び率では2017年3月期で101.7%。今期も10カ月経過(2017年4月~2018年1月)時点で104.3%。各都市部のインフラ整備をはじめ首都圏では東京オリンピックを控えた建築、工事需要に支えられていることも要因の一つ。また客足が鈍るはずの台風・降雪シーズンであっても雨具、防寒具の伸びがワークマンの売上げを支えている。この点が他の衣料、雑貨などのチェーンにはないワークマンの独自性でもある。

 ただし、最近、Amazon、楽天に加え、工具通販サイトのMonotaRO(モノタロウ)の台頭により、ワークウェアを含めた工具・建築関連商材のネット購入が広がりつつある。

 リアル店舗の世界では同業競合が無いと思われたワークマンにとって、ネットの世界からの競合激化への対応の一つが作業者以外の客層の拡大であり、ワークウェア以外の新用途提案としてのアウトドア、カジュアル衣料への展開なのである。

 工事現場での耐久性、厳寒に耐える防寒性、酷暑時の冷感性など本来、作業服が持つ機能性を生かしつつ、普段使いに横展開されている上、価格帯も先述のパーカーでは2500円が中心価格となっており、ナショナルブランドの同仕様の商品より30~50%低い価格設定となっている。

 ネット企業を巻き込んだワークウェア分野の競争激化が、アウトドア・カジュアル衣料の世界にワークマンという新しいプレーヤーを登場させたといっていい。