笹井清範 商業界 月刊『商業界』編集長

 ㈱商業界にて編集記者歴25年超、現場に赴く取材は年間150件を超え、累計は約4000件を数える。取材対象は中小個店からチェーンストア、小売業、飲食業、サービス業、卸売業、農業、製造業と幅広い。商業界の提唱する理念「店は客のためにある」の普及をミッションとする。月刊『商業界』の誌面以外にも毎日、商人応援のためのブログ「本日開店」で日々の取材で学んだことを発信している。
(笹井編集長の講演は2月21日16時40分より)

 

 人口減少・少子高齢化が進む中、日本はこれまで急速に増加してきた人口が今後100年のうちに一気に100年前のレベルに戻るという、人類史上どの国も経験したことのない時代を迎えようとしています。

 また、そのとき、日本は高齢者シングルが世帯構成の4割を超える社会となっているでしょう。

 情報通信技術面では、人工知能(AI)が人類の知能を凌駕し、人類文明に想像を超える変化をもたらすシンギュラリティ(技術的特異点)が2045年に起こると推測されています。

 既にAIを駆使した無人店舗が生まれ、家庭内ではスマートスピーカーがコミュニケーションと消費の中核を担おうとしています。

 そのとき、商いはどのように変わるのでしょうか。

 これまで私たちの成功体験の土台にあった大量生産・大量消費、モノの豊かさ第一とする社会構造は既に過去のものです。

 私の講義では、変わるものと変わらないもの、変えるべきものと変えてはならないものを見極め、商いが本質的に持つ社会的使命と、商人として忘れてはならない原則をさまざまな事例から考えてみます。

 商売十訓にある「お客に有利な商い毎日続けよ」は、その変わらないもの、変えてはならないものの一つです。

 では、「お客に有利な商い」とは何でしょうか。

 ここに、変わるものと変えるべきものが潜んでいます。

 商業界創立者、倉本長治は多くの著作を遺していますが、その中にこのようなな一文があります。

「商売は今日のものではなない。

永遠のもの、未来のものと考えていい。

人は今日よりも良き未来に生きねばならない」

 そう、より良き未来こそお客のために実現すべき商人の使命です。

 かつて近江商人は「店よし、客よし、世間よし」と言いました。

 今、私たちはそこにもう一つ新たなビジョンを加えるときです。

「店よし、客よし、世間よし、そして未来よし」

 これこそ倉本が前述の一文に込めた商いの理想ではないでしょうか。

 

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