一般社団法人日本ショッピングセンター協会は、同協会が主催する『SCビジネスフェア』初日に会場のパシフィコ横浜(横浜市)にマスコミを集め、「ショッピングセンターにおけるES宣言・行動指針」を発表した。

 ここではその全文を紹介し、その背景や同宣言に至るまでの経緯、趣旨などを会見の内容も交えてまとめてみたい。

 
 

従業員が疲弊し、離職率も高まる悪循環が続いている

 今、改めてES(Employee Satisfaction:従業員満足度)を重視する宣言を発表した背景には、宣言の前文(上の写真)に記されているように、ショッピングセンター(SC)の最前線で働く「テナントの従業員が募集をかけても集まりにくく、深刻な人手不足に陥っている」という厳しい現実がある。

 SCは営業時間が長いため、従業員は勤務時間が不規則で、遅番の場合は、営業終了後の締めの作業に時間を取られ、店舗を出る時間が遅くなる。お客が多い土日や連休は休みをとれない。こうした勤務形態が敬遠され、人が集まりにくい。そして、人材が不足すると、既存の従業員の超過勤務や、業務量増加が生じて従業員たちが疲弊し、離職率も高まるといった悪循環が続く。

 ましてや、SCのテナントの従業員は圧倒的に女性が多く、こうした働き方では、結婚はまだしも、子供が生まれれば働き続けることは難しいという問題もある。まさに、SC業界は今、政府が提唱する働き方改革が求められていたのだ。

営業時間短縮、休業日増加がプラスに働いている

 これまでSCは、売上げを上げるために営業時間を延ばし、休業日も減らしてきた。それが店舗の従業員の負担を増してきた原因の一つでもある。日本SC協会も、こうした状況に危機感を抱き、デベロッパーとテナントが協力して、人事制度の見直し、事業所内保育所の設置、休憩場所の改良など、働く環境の整備に取り組んできた。2016年5月には、「人材確保対策への取り組み」を発表し、販売職の魅力度向上やESの充実・労働環境の改善等につながる取り組みを進めてきた。

 SCもそれぞれ働きやすい環境の整備や業務効率化を目指してさまざまな努力を重ねており、営業時間短縮、館の休業日を増やすなどの対策をとるところも出ている。同様の動きは、百貨店、大手飲食チェーンなどにも広がっており、時代の趨勢だ。

 そうした企業に効果や影響を聞くと「売上げが減るかと思ったが、逆に増えた」「従業員が限られた時間の中で集中して接客や販売に当たり、モチベーションも上がる」といったポジティブな答えが返ってくる。お客の反応に関しても、「働き方改革が提唱されている中、一定の理解が得られていると感じる」といった声が聞かれ、特に物販の場合、ネットでの買物が浸透している今、営業時間外はECで補完できるため、お客もそれほど不便を感じていないようだ。

 こうした流れの中で、今回の「ショッピングセンターにおけるES宣言・行動指針」の発表となった。