ベイクルーズ運営のNY発のロブスターロール「ルークス表参道店」。外国人観光客を含めて行列が絶えない、テイクアウト専門で回転は早い。

 日本国内の衣料品市場が年々シュリンクしているのを尻目に、総務省発表の家計調査の結果によると、エンゲル係数は29年振りの高水準を記録したようだ。

 これは主に食品価格の値上がりと共働き世帯の増加による調理食品の購入が増えたとの指摘もあるが、被服及び履物は3.4%減と、衣料品は買い控え傾向が続いている。

「アパレルと飲食」に挑戦する企業が増えている。

 そうした状況も踏まえ、衣料品ブランドが本業以外にファストフードやカフェといった「食」を提供する動きが活発化してきている。

 「食」には食物販もあれば飲食もあるのだが、ライフスタイル提案やコト消費といった注目キーワードも追い風となって、こうした取り組みに拍車をかけているのが現状だ。

 今回は、こうしたケースを紹介しながら新たな「衣と食」のマッチングについて考えていきたい。

 

ベイクルーズ

ハンバーガーに続き、パンケーキ、ロブスターも

ベイクルーズが初めて手掛けたフードビジネスの「J.S.バーガーズ」は、「ジャーナルスタンダード」脇の階段を上って3階にある。
「J.S.バーガーズカフェ」のハンバーガーは毎日焼き上げる自家製バンズにビーフ100%の氷温熟成パティを使用するこだわりようだ。

 まずは、順調に飲食事業を伸ばしているケースが、ベイクルーズ。約70店舗を展開しており、売上高もここ2年で倍増して約80億円(17年8月期)になる見通しだ。

 同社の食事業への取り組みは2000年頃からで、今では珍しくなくなった本格的なハンバーガーを売りにした「J.S.バーガーズ」は、オープン当時から話題を呼び、今日でも人気のある店だ。

 その後もパンケーキブームの流れも享受した。オーストラリア・シドニーの“世界一の朝食”を提供する店として有名な「bills(ビルズ)」の進出は08年(1号店は鎌倉・七里ヶ浜)。日本のパンケーキブームの火付け役として知られる「エッグスンシングス」の進出は10年(1号店は原宿)。この間の09年に1号店をオープンさせた「J.S.パンケーキカフェ」がパンケーキブームに乗り、休日には長蛇の列をつくっていたのは記憶に新しいところだ。

 中でも、原宿では次々とパンケーキ店が出現した。原宿は80年代にクレープが流行した土地で女の子の好きなスイーツで、ファッションとして食べられ、しかも原宿の町も楽しめるということで、クレープが流行した時に似た現象が起きたわけだが、SNSとの親和性が高かったこともパンケーキブームに拍車をかけた一因になった。

 そして、ここ2年くらいの伸長の原動力となったのはNY発のロブスターロールの「ルークス」だ。「ルークス」も行列の絶えない人気店で、今も訪日観光客も取り込み、大いに賑わいをみせている。

 こうしたベイクルーズのケースは、旗艦店であるファッションセレクト店のジャーナルスタンダードに隣接した形で出店はしているが、両業態店と相互の関係がさほど深くない点が特徴として挙げられる。飲食事業に関しては本業との相乗効果よりも、フードトレンドへのアンテナとあくまで味を追求していく姿勢が鮮明になっている。

サザビーリーグ

「食+α」を志向も、あくまで世界感を優先

 早くから「食+α」という発想を持って展開していたのは、サザビーリーグ。「アフタヌーンティー」で生活雑貨とカフェを隣接する形で始めたのは81年から。イギリスの紅茶文化という世界感を追求した店づくりは、当時はかなりのインパクトがあり、お洒落な女性たちやカップルを中心に愛用されていた。

 そのサザビーリーグは、最近では「アコメヤトウキョウ」という米に焦点を当てた「食+α」のショップを展開している。銘柄別に木製のケースに入った米を量り売りする販売スタイルはなかなか斬新。商品構成、売上げ共に雑貨より食品のウエートが高いようで特にご飯のお供となるような食品が人気で、雑貨ではおいしいご飯が炊けると評判のオリジナル土鍋や人気ファッションブランドの「ミナ・ペルホネン」と協業したエプロンが売れ筋だ。銀座店併設の飲食店の「アコメヤ厨房」では、店内で販売している食材や食器を使用してショップの世界感を共有している。

 他のブランドでは「アパレル」「食」に関しては専業展開が多く、米国西海岸のライフスタイルブランドの「ロンハーマン」の展開まで「アパレル+食」の組み合わせたケースはなかった。そうした点で、ブランドの世界感を優先させた戦略をとっている。