ストライプインターナショナルは2月9日にホテル併設型グローバル旗艦店「hotel koe tokyo」を渋谷にオープンした。全3層による施設概要は、1階がカフェとイベントスペースの飲食フロア、2階がアパレル、雑貨の物販フロア、3階が4タイプ10室を備えた宿泊フロアといった陣容でファッション、音楽、食、宿泊といった多様なコンテンツを盛り込んだ「体験型店舗」を目指す。

今なぜ、ホテル併設型店舗をつくるのか?

 直近の家計調査でも示されるように、衣料品に対する出費は年々縮小傾向にあり、アパレル業界関係者は一応に衣料品のみで勝負することに危機を感じ始めている。

 ファーストリテイリングの柳井正氏でさえ「ファッションは中心ではない」と、成熟してしまった社会では生活を豊かにしてくれる本当に良い服しか売れないと言い切る。そうした流れもあって、アパレル各社は周辺カテゴリー、非アパレルへ事業領域を広げる動きが活発。この文脈の中に「hotel koe tokyo」は置くことができるだろう。

無印良品には「MUJIファン」がいる

 こう書いていて頭に浮かぶのが「MUJI HOTEL」だ。

 無印良品は今年の1月に中国の深圳に「MUJI HOTEL SHENZHEN」をオープンさせた。新しく開業したショッピングモール「深業上城(UpperHills)」内に出店したもので、2階はレセプション、3階は会議室やジム。4~6階に全79室ある宿泊ルームは、広さの異なる5タイプが選べて2~3階には売場面積1726㎡と中国最大規模となる「無印良品 深業上城」を併設している。

「MUJI HOTEL」は「アンチゴージャス、アンチチープ」がコンセプト。「ちょうどよい価格でよく眠れ、旅先において体と心を整える空間と、宿泊客と土地をつなげるサービス」を提供する。この深圳に続き、3月20日には中国の北京にオープン予定。2019年春開業予定の東京・銀座では、ホテル運営を小田急電鉄の子会社のUDSが担い、内装デザインを良品計画が監修するようだ。

 この「MUJI HOTEL」は「MUJIファン」がいるから成り立つのだと思っている。「hotel koe tokyo」でもそうしたことが起こるのか、私は注目している。

コンペティターは「トランクホテル」 !?

3階には客室が10室ある(写真はLの部屋)。

 ニューヨークでは、デザイナーズホテル(現地ではブティックホテルと呼ぶ)の人気が高い。古くはモーガンズニューヨーク(MORGANS NEW YORK)やグラマシーパークホテル(Gramercy Park Hotel)をはじめ、数多くある。

 その中でも人気のホテルとなるとエースホテル(ACE HOTEL)が有名だ。古い建物をリノベートして何ともいえないヴィンテージ感が味わえる。ロビーは、宿泊客でなくても誰でも入ることができ、無料Wi-Fiを求めてノートパソコンを持ったIT系の人たちが連日集まる。週末はクラブみたいになったり、ライブが行われたりするので、イベント目当ての人たちがタクシーに乗って集まるほど賑いがある。

 hotel koe tokyoの岡田茂宏総支配人は参考にしたホテルとして、ニューヨークのエースホテルと昨年開業したばかりのパブリックホテル(Public Hotel)を挙げている。

 このうち、エースホテルを強く意識したホテルが、婚礼大手のテイクアンドギブ・ニーズによって昨年の5月に開業した「トランク ホテル(Trunk Hotel)」だ。建物までリノベートしたわけではないが、1階ロビー部分はサードプレイスとして宿泊客以外にも広く開放。音楽イベントや展示会、ラウンジパーティなどを催し、宿泊客以外の客との交わりの場を提供するスタイルがエースホテルと似ている。

「ザ・ミレニアルズ」の方がイメージは近い?

 そして、もう一つ、「hotel koe tokyo」からほんの50mくらいの場所に来月15日にオープン予定するのが「ザ・ミレニアルズ渋谷」(The Millennials Shibuya)。名前が記す通り、ミレニアム世代に向けてミレニアム世代が作ったホテルとして昨年7月に京都にオープン。わずか半年弱で延べ1万人が宿泊したという人気ホテルだ。

 日本発祥のカプセルホテルをさらに快適に進化させた「Smart Pod」システムが新鮮で、総面積の20%を共有スペースとして活用する新しいタイプのホテルは、1階にTSIホールディングスの「アクメ ファニチャー(ACME Furniture)」、2階に同グループの人気バーガーショップのJSバーガーがあり、5階から10階を宿泊階とし、120ユニットを配置。4階はフロントおよびセルフキッチン付きのラウンジで、3階はコワーキングスペースで、バンケット(宴会)利用も可能になるなどイベントスペースとしても運用していく。

 客室単価は6000円前後と、「hotel koe tokyo」が狙う価格帯と利用者とは異なるが、泊まる立場からすると、こちらの方がブランドイメージに近いような気もしている。