FASHION WALKの外観。 11月後半からは歩道上にはクリスマスデコレーションも登場し、華やいだ雰囲気を演出する。

 香港は世界でも有数な“金持ちが住む都市”の一つであり、街を歩けばラグジュアリーブランドのきらびやかなショップが数多く見られる。

 その半面、香港の不動産賃貸料は高騰し、資本力の少ない新興ファッションブランドやさまざまなジャンルのクリエイターにとって、自分たちのショップを持つことは極めて困難になってしまった。

 そんな香港ではあるが、ここ数年、ようやく新しい試みによる商業施設が誕生してきた。

 今回は筆者が香港滞在中に必ず足を運ぶ定点観測スポットを紹介したい。

①「Fashion Walk」(名店坊)

 初めに紹介する場所は香港の大手デベロッパー「恒隆地産」(Hang Lung Properties)が、香港島の銅鑼湾(コーズウェイベイ)で展開する「Fashion Walk」(名店坊)だ。

 銅鑼湾には百貨店の「崇光(そごう)」(旧そごう)や、ショッピングセンター(SC)のTimes Square(時代廣場)があり、香港でも有数の商業地である。そのため、銅鑼湾地区はニューヨークの5番街に次いで、世界で2番目に不動産賃貸料が高いことでも知られる。

 Fashion Walkは5年ほど前から、恒隆地産が銅鑼湾のパターソン通りとキングストン通り一帯に数多く所有する、賃貸アパートの1階から2階部分の店舗スペースを段階的にリニューアル。そこに海外のファッションアパレルや服飾雑貨や飲食店を集積し、賑わいを見せているスポットである。開発手法としては三菱地所が推進している丸の内周辺の再開発の“コンパクト版”と言ったところである。 2015年の7月、アメリカの新聞『USA TODAY』が、香港における「スマートファッションの集積地」として、Fashion Walkを取り上げたことでその知名度はより高くなった。

 テナントの顔触れはファストファッションの「H&M」に、「Max Mala」「Kate Spade」「Michael Kors」などのお馴染みのショップから、「A.P.C」「Maison Kitsuné」などのセレクト系、「Hysteric Glamour」「TSUMORI CHISATO」「Y's」「STUDIOUS」「Francfranc」等の日系アパレルやインテリアショップも数多く出店している。

 Fashion Walkはこれらアパレルショップの集積だけでなく、飲食店の集積も魅力の一つだ。グロウスター通り沿いの「Food Street」に20店舗ほどある飲食店の、建物の間のわずかな隙間にできたテラス席は、週末ともなれば若いカップルやグループで埋め尽くされる。

 Fashion Walkは大都会香港の、何とも言えない“モダンなカオス感”を感じさせてくれるお洒落スポットである。

元が古い賃貸アパートのゲタ履きの店舗区画とは思えない、しっかりとした店装になっている。
華やかな店舗のファサードの上に視線を移せば、そこは通常の賃貸アパートである。
周辺の建物を見ても、かなり古いビルが多いことが分かる。各通りから見える賃貸アパートの壁面をド派手な紅白にペイントし、自分がいる位置関係が分かるようになっている。
フランフランは1、2階のメゾネット出店と、FASHION WALKの中でも最大規模。
日本では絶対に許可されない、建物との間の狭い通路にオーニング(日よけ)を付けけたテラス席。
飲食店はファストフードからカジュアルダイニング、各国料理と幅広いジャンルがある。