1月26日、楽天は米国のウォルマートと両社の強みを生かしたユーザーへのリーチ拡大およびサービス向上を目的として、戦略的に提携すると発表した。国内ではウォルマート傘下の西友と協働で「楽天西友ネットスーパー」を今年7月から9月の間で立ち上げる。

 協働により配送能力の拡大、品揃えの拡充、利便性の強化を行い、配送については西友のリアル店舗からの配送に加え、年内にネットスーパー専用の配送センターを設ける予定だ。

 品揃えについては、西友の強みである「質」と「低価格」の両方を実現した商品を提供、生鮮食品や日用品だけでなく、昨今の時短ニーズに対応したカット野菜や半調理食品、ミールキットなどの簡便商品の品揃えを拡充するとともに、楽天ならではのお取り寄せグルメも取りそろえるという。

巨大なプラットフォームの顧客接点は魅力的

 今回の提携は、商品調達や配送といった西友のリソースと、楽天のノウハウによる利便性の高いサイトを構築し、需要の取り込みを図ろうとするものだ。

 これに先立ち、アマゾンは独自で昨年7月から生鮮宅配「アマゾンフレッシュ」を都内の一部で展開しており、ネットスーパーに有力ECが参入する新たな局面を迎えている。

 年間数十億のアクセスがあるアマゾン、楽天市場といったECは消費者と接する巨大なプラットフォームで、顧客接点の入り口という役割はとてつもなく大きい。楽天西友ネットスーパーもその優位性を享受できることになり、あとは商品力やサービスが支持を得ることができるかにかかっている。

鍵はリアルな店舗にどれだけ近づけられるか?

 現状の西友のネットスーパーは一定の支持を得ているが、より魅力的なサイトに進化できるか、鍵はリアルな売場にどれだけ近づけられるかどうか、スーパーマーケット(SM)で買物するようにネットで購入することが求められている。

 そしてSNSも活用しながら情報の受発信機能を強化できるかどうかもポイントとなる。

 小売りの西友にすれば限界のある自社のECだけに頼るのではなく、より顧客獲得の機会が広がる可能性を求めてECとの連携に動くのは極めて自然な流れだ。

楽天経済圏」が利用促進に貢献する

 これに対してEC勢も、新たな商品、サービスを提供することで利便性を高めて事業の拡大を図ることにも一貫して取り組んできた。

 楽天は銀行、証券、クレジット、電子マネーといった金融サービスも手掛けており、旅行など70以上のサービスを提供、会員へのポイント付与など「楽天経済圏」を形成して、顧客の囲い込みを強化している。1月30日には、朝日火災海上保険を買収すると発表した。

 この「楽天経済圏」が楽天西友ネットスーパーの新規顧客獲得や利用促進に貢献することは間違いないだろう。

ただ、10年後でもECがリアルを逆転はしそうにない

 ただ、EC化比率はネット先進国の米国では11%、急速にECが発展している中国では15%に達しているが、日本は7%にとどまっている。

 大局的に見れば、ECが提供するその環境を消費者がどの程度選択し享受するか、利用が拡大し流通に占めるシェアはどこまで伸びるのかといった点は不透明だ。

 SMが身近にある日本で、ネットスーパーの利便性がリアル店舗からお客をどのくらい奪うのか、リアルもIoTやAI、ロボットなどのテクノロジーで進化することもあり、10年後でも限定的でリアルを逆転するとは思えない。

 しかし、店舗は消費者に最終的に商品を届ける手段であり、輸送手段は近代に自動車、飛行機と新たな乗り物が登場し、馬車が姿を消したように、その役割が未来永劫に続くとも思えない。

進む「リアルとECの融合」の影響は?

 リアルとECの融合する取り組みも進む。セブン&アイ・ホールディングスはアスクルの通販サイト「ロハコ」に出店し、アスクルの配送網を活用する「IYフレッシュ」を昨年11月から都内でスタートし、新たな顧客の取り込みを図ろうとしている。生鮮食品を中心に簡便調理アイテムもそろえ、約5000アイテムを取り扱い、セブン&アイのEC「オムニ7」と「ロハコ」とも相互送客を行い、顧客の獲得を目指している。こうした相手とも楽天西友ネットスーパーは戦い、勝たねばならないわけだ。

注目はサービスエリアの拡大の速さ

 あらゆる消費者のニーズや需要に対応し、ネット上で全てが完結する時代が到来しようとしている。そうした状況の中で楽天西友ネットスーパーの成否の行方はアマゾンフレッシュとともに注目されるが、サービスエリアの拡大スピードがどのくらいの速さで進むか次第で売上拡大も左右される。

 筆者の考えでは、楽天西友ネットスーパーは加速度的に利用が拡大し急速にシェアが高まることなく、これはアマゾンフレッシュでも同じことがいえるのでないかと予測している。