コンビニの雑誌の売上げは、10年前の2008年と比較して、約65〜70%減の1日1店舗当たり5000〜6000円となっている。その中でも成人誌は取り扱い店の減少もあり、70〜75%減の1日1店舗当たり200〜300円。その平均単価が400〜800円前後であることを考えると3日に1冊程度の販売数となっているようだ。

 コンビニの日用品の棚1段当たりの売上げは300〜350円といわれているので、成人誌の売場は大変効率の悪いカテゴリーとなってしまっている。

当初はフィルムで覆う対応を検討するも……

 そうした中、千葉市の主導で2017年12月1日から、ミニストップが成人誌の販売を止め、今年の1月からはそれを全国へエリアを拡大させた。

 新たな形での「言論・表現の自由」への介入との意見もあるが、どちらかといえばミニストップ側の主目的としては「子供や女性への配慮」や「2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた外国人旅行客対応」と思われる。

 当初、千葉市ではファミリーマートが堺市(大阪府)で実施している有害図書を店頭に陳列する際に、市が独自に定めたフィルムで覆う対応を検討したが、作業負荷の問題などでコンビニ各社との調整がつかず、今回の成人誌の販売取りやめに流れが変わったと思われる。

コンビニは誰でも安心して使える社会インフラ

 僕が浜松で暮らしていた小学生時代の40年前は、子供が成人向けの表現に触れるのは、本屋の成人誌コーナーや街角のビニールに入った本を売る自販機と日陰の場所が中心だったが、唯一、街中に映画のポスターを上演館ごとに張るスペースがあり、向かって一番左側には日活ロマンポルノのポスターがあり、ドキドキしながらも、両親といるときは気まずい思いで通り過ぎた思い出がある。1990年代からしばらくはそんな場所がコンビニの成人誌売場だったのだろう。

 ミニストップの藤本明裕社長も、社会インフラであるコンビニの使命として誰でも安心して使える店作りをするとの表明をしている。そして何より前述のコンビニ全体の成人誌売上げの低迷を考えると、取り扱いのメリットが低いことがこの決断の後押しをしたのは間違いないと思われる。

アンケートをとったら中止に賛成が71%だった

 現状 ミニストップでの取り組みは、報道によると、売上げダウンもしておらず。お客さまの反応も好意的とのこと。Twitterでアンケートをとってみたところ、113人の回答を得たが、成人誌展開中止に「賛成」が71%と「反対」の29%を上回り、SNS上でも販売中止を支持する声が多くなっている。

 大手コンビニでは取り扱いの有無を加盟店の判断としているが、報道によると取り扱いを中止しているのはセブン-イレブンで約3000店舗(全体の約15%)、ファミリーマートで約1200店(全体の約7%)ローソンで約2500店(全体の約18%)となっており、ミニストップの動向は成人誌業界の売上げとともに、コンビニ業界での取り扱いに大きな影響を与えそうだ。        

 中小コンビニチェーンでは、取次からの一般雑誌の配本が大手コンビニに集中し減っているため、どうしても成人誌の売場が大手より大きくなる。そのため、成人誌の取り扱いの影響度合いは大手コンビニより大きくなりそうだ。

「観光に影響する」という見方もある

 筆者が、2001年に北海道でローソンの雑誌のバイヤーをしていたとき、北海道庁に他のコンビニバイヤーと一緒に呼ばれ、有害図書類のヒアリングと勉強会に参加したことがある。当時は、レディスコミックの過激な表現の注意点が中心に講義がなされた。ススキノの店舗を中心に風俗情報誌の売上げが高いのだが指導がなかったのには違和感があり、他社の北海道出身のバイヤーに聞いてみると「北海道観光に配慮したのではないか」と言っていたのを、東京からの転勤族の僕は「なるほどな」と思ったのを覚えている。風俗情報誌は、取次から納品されるのではなく、地域の新聞ベンダーからの納品のため、数値データは把握できていないが、今後の取り扱いの焦点となるかもしれない。

今後の規制を変える転機となる

 もう一つ、成人誌の展開で議論になるのは、性犯罪への影響を懸念する点だ。

 国家を比較するためのさまざまな統計資料が掲示されている「NationMaster」というデータサイトには、人口100万人当たりの性的暴行の発生件数のランキングを発表しているが、対象となった116カ国のうち日本は103位となっている(潜在的被害者数は当然加味されておらず、発展途上国の数値が取り切れていなかったり、調査年度の違いがある数値となっている)。成人誌の取り扱い中止により、これがどう変わるかで今後の性的な商品やサービスの規制の道標になるのかもしれない。