「H&M」の上陸(2008年9月)以降、破竹の拡大を続けてきたかに見える外資SPA(アパレルチェーン)だが、昨年1月の「OLDNAVY」全店撤退を契機にアウェイの苦闘ぶりが露呈するようになった。

OLDNAVYの売上げが消え、H&M、フォーエバー21も不振

 日本で展開する大手外資アパレルチェーン(ギャップ日本法人、ZARAジャパン、H&Mジャパン、フォーエバー21ジャパン、イーグルリテイリング)の合計売上高は2008年の957億円からファストファッションブームを経て2013年には1987億円と大台に迫り、2016年には2008年比2.8倍近い2670億円に達したが、ギャップ日本法人の不振(「OLDNAVY」撤退前)などで2017年には2647億円と初のマイナスに転じた。売上推計の元となる各社の本社決算発表がずれ込むため、「OLDNAVY」の売上げが消えるのは2018年度集計(米国ギャップ社は1月決算)で、「H&M」や「フォーエバー21」の不振も加わって2406億円(前比91%)とさらに落ち込むと推計される。

店舗が広がると販売効率も消化率も加速度的に低下

 上陸直後の店舗数が限られる段階では人気が沸騰して行列ができる騒ぎになっても、多店化して郊外やローカルまで店舗が広がれば人気も離散し、販売効率も消化率も加速度的に低下していく。「ユニクロ」や「ジーユー」が年間平均して月坪30万円近く売り上げる郊外大型SCで、最も好調な「ZARA」でもその6掛け、「GAP」や「H&M」は半分にも遠く、「フォーエバー21」はさらに下回るというのが現実で、「OLDNAVY」は月坪10万円にも届かなかったといわれる。

 アパレルはローカル性が強く(食品はもっと強いが)、米国ではエスニックマーケティング(人種別品揃え)が要になるほどで、サイズ対応や52週のMD展開はもちろん、出店や雇用のルールも異なるアウェイでの展開は困難を極める。2018年8月期第一四半期(2017年9〜11月)でついに海外売上高が国内売上高を抜いた「ユニクロ」さえ、海外事業が黒字転換したのはロンドン出店から7年目、最も高コストといわれる米国では進出12年目にして、ようやく黒字化の目処が立った。

ゾーニングの中核に据えるリスクは決して小さくない

 アウェイの海外市場ではさまざまな障壁があって市場に浸透できず、短期で撤退するチェーンが少なくない。2006年進出の「TOPSHOP」は2015年、2012年進出の「OLDNAVY」は2017年、2013年進出の「Eland」と「Weekday」は2015年、「MONKI」は2016年に撤退しており、今も撤退が噂される外資チェーンは片手に余る。5年以内の撤退率はほぼ半分、十年後には三分の一しか残らないのが現実だ。外資アパレルチェーンの集客力を期待してゾーニングの中核に据えるデベが少なくないが、そのリスクは決して小さくないと肝に銘ずるべきだろう。