今後は4つの事業を柱に ブランド事業は精度を高める

 ――来期以降の重点政策の柱は。

 上山:大きくは①ブランド事業(国内、海外)、②PF事業、③投資事業、④デジタル事業――の4本柱です。

 ――第1の柱であるブランド事業の方向性は。

 上山:精度をさらに高めてブランドらしさを追求し、強みを明確にした付加価値の高い商品を企画。チャネルごとのマーケットにおいて差別化された商品を提案していきます。

 ――海外は中国、台湾、韓国、タイの4カ国に整理した。今後の出店の中心は。

 上山:タイでは昨年3月に現地のサハグループと合弁会社を設立しました。現在は「タケオキクチ」2店で、これから出店していきます。サハグループの生産基盤などを使ってライセンス生産をしてもらい、地元の志向に合った商品を展開し、店舗開発でも先方の力を借ります。

 海外は従来独資による展開でしたが、今後は現地の強い企業と組んで市場に合ったブランドを展開していきます。

 台湾では昨年12月にジュエリーブランド「ココシュニック」を出店し、16年5月にもバッグと革小物を提案する「ヒロコハヤシ」が初出店。雑貨ブランドの展開を試みています。

 ブランドの店舗が増えていく可能性が高いのはその2カ国です。

 ――中国と韓国は。

 上山:中国では「アナトリエ」を展開していますが、それとは別にPFビジネスとの連動を図ります。空間創造や店舗設計をしているワールドスペースソリューションズの什器を作る協力工場が中国に3つあり、東京オリンピックに向けたホテル建設ラッシュのためにホテルの内装・什器・家具の日本への輸出も含めて中国のワールドが手掛けていきます。

 韓国は「オゾック」とゴルフウエアの「アダバット」の2ブランドを展開。中国からの観光客が減っていますが、構造改革をしながら利益を出しています。

PF事業では欧州ブランドの 日本上陸のサポートも

 ――第2の柱のPF事業は。

 上山:今まで築いてきた会社や機能を使ってグループ以外でもしっかり商売させていただこうと考えています。例えば販売会社のワールドストアパートナーズ(WSP)が海外ブランドの日本への初上陸を支援し、店舗開発、販売員の採用・教育、店舗運営、それからシステムをフィービジネスで全部請け負います。

 相手はアッパークラスの欧州ブランドですが、18年の秋に第1号店をオープンする予定です。百貨店やデベロッパーとの交渉は始まっていて、実際昨年12月に東京・北青山のオフィスで商品や見せ方を見ていただきました。

 WSPでは他にも地方都市で他社の販売を請け負っています。またデベロッパーで働くテナント従業員のための教育を3館から受託しています。他社のビジュアルマーチャンダイジング教育もワールドスペースソリューションズが受けています。こういったことが確実に利益を生んでくれるものと期待しています。

 ――生産PFでは。

 上山:赤ちゃん本舗のマタニティのODM(デザイン・生産委託)を受託していますし、大きな専門店チェーンに向けたOEM(生産委託)も受けています。

 ――将来的にはPF事業の収益を3、4割に高めたい意向だが、その時期は。

 上山:目標時期は公表していません。

投資事業は ファンドとM&Aの両輪で

 ――第3の柱の投資事業の方向は。

 上山:日本政策投資銀行と共同でW&Dインベストメントデザインを昨年6月に立ち上げ、その運営するファンドで第1号案件としてユア サンクチュアリーへの投資を昨年12月に実行しました。

 また12月末にはアスプルンドを買収しました。ワールドが持つ雑貨のブランドとのシナジー(相乗効果)も考えてワールドグループで直接投資をするという形でアスプルンドの全株式を取得しました。利益を生んでいる会社を買収していくのは今後のワールドの利益成長にとって重要なことだと考えています。

 ――ファンドにするかワールドが直接買収するか、投資方法を決める基準は。

 上山:基本的には出資を受ける企業の意向を尊重します。ユア サンクチュアリーも、ファンドを運営するW&Dインベストメントデザイン設立の新聞記事を見て当社の広報にお電話を頂いたのです。

 金融とビジネスの両輪でというファンド運営の考え方に共鳴していただいて、世界に打って出る日本のブランドを目指そうと。今もパリでコレクションを毎年開いている「シクラス」というブランドをどう持続可能な形で拡大・成長させていくかという点で意気投合しました。

 ――アスプルンドを買収した経緯は。

 上山:同社は「212キッチンストア」と「タイムレスコンフォート」を展開していますが、当社のライフスタイルストア「ワンズテラス」の同名の運営会社社長である西川信一とアスプルンドの嶋本喜司社長(現会長)は十数年来の業界の先輩、後輩でとても仲がいい。

 マーチャンダイジング(MD)面でも近しく、仕入れでシナジーが出せるだろうと考えました。西川はワンズテラスを売上高100億円規模に育て利益を出す会社にしていますので当面両社の社長を兼務します。本社機能の効率化も進むでしょう。それとアスプルンドは家具のカタログが充実していて先述のワールドスペースソリューションズの家具販売、ホテルへの大規模納入にシナジーが発揮できるのではと考えたのです。

 ――雑貨グループの中に組み込む。

 上山:今は子会社のワールドインベストメントネットワークの出資という形ですが、将来的には当社の雑貨グループとのシナジーを狙っています。

 ――M&A(合併・買収)はまだ続く。

 上山:資金の制約もありますが、当社の将来的な戦略に合致したM&Aはできる限りやっていきたいと考えています。