今回は小売業界の全国的な課題、人手不足の問題を取り上げます。小売企業各社は、ここ何年もパート・アルバイトの採用に苦労していますが、その一因は「最低時給に近いくらいの時給の低さ」。そうした状況の中、コストコは最低時給を1200円に設定しています。どうして、こうした差が生まれるのでしょうか? 江口大雅君(小売業への就職を希望している男子学生、大学4年生)と一緒に考えていきます。

 編集部:昨年くらいから、全国で小売業の人手不足が問題になっています。パートを募集しても、集まらないという経営者の方が急増しています。ここに、どのような本質の問題があるのでしょうか。チェーンストアに問題が起こっているのではないかと感じるのですが……。

募集しても応募がないのはパートの時給が低いから

 吉田:募集しても応募が少ない。1人も来なかったということまで、私も聞いています。

 パートの時間給の低さという原因もあるようです。国は今年、賃金を3%上げることを企業に要請しています。

 国の個人消費が増えない原因は、賃金が上がらないからだと政府が考えているからです。政府は、GDPの60%を占める個人消費を増やして、GDPの実質成長率を2%以上にしたいと、常々、思っています。

 世帯の所得が増えない場合、預金を崩さないと、消費が増えません。

 店舗の販売統計を見ても、既存店の売上げは全業界でほとんど増えていません。新しい出店分以外は、減少の傾向です。

 江口:僕の大学でも、公務員や金融業の志望は多いのですが、大手でも小売業を希望する人はとても珍しい。自分くらいしかいません。募集が多いコンビニのアルバイトも、時給が安いからと、以前より人気は落ちています。

 吉田:1999年に、日本に進出したコストコはご存知でしょう。会員制ホールセラーといっていますが、実際は、個人客がほとんどです。

 進出当初、コストコで人気があるパンは数十個単位の袋詰めで、ミネラルウォーターも2ダース単位での販売なので、スーパーマーケット(SM)に週に2日や3日は行って1回の買物の量が少ない日本では、価格は安くてもうまくいかないと言われていました。米国では、SMの買物も週1回で、1回に買う量が多いのですが、これに適合した業態(販売方法)と言われていたのです。

 ところが結果は、現在26店舗、1店舗が3000坪~5000坪という売場の広さで、1店の年商は250億円くらいもあります。

 そのコストコも、日本流にいうパートを募集していますが、最低賃金の時間給が1200円です。東京の全業種の平均が時間給で1107円、全国平均は10%は低い1006円です。

最低賃金に張り付いているのが小売業のパート時給

 その中で、小売業のパート賃金は5%から15%は低い。各県の最低賃金の750円~850円に張り付いているのが小売業のパートでしょう。

 小売業のコンサルをしてきた立場からも、パート賃金の実情を聞くと、悲しくなります。小売業の正社員の賃金も、大手・中小にかかわらず、他の業種より、低いからです。

 江口:コストコはパートの初任給が1200円ですか。高いなぁ。応募が多いでしょうね。比較的高いコンビニでも1000円以上のところは、あまりありません。

 東京でやっと1000円を超えるところがあると聞いています。アルバイトの横の情報はすぐ伝わるんです。みんなツイッターを使っていますから。