日本一と賞賛されるスーパーマーケット(SM)のレジサービスはお客さま一人一人への対応で、お客さまから『すごい、そこまで考えてくれるの!』と評判です。

お客さまのその後を考えるSMのレジ担当

 チェーンストアはシステム産業であるため、仕事はマニュアルで事細かく決められています。レジ業務も例外ではなく、マニュアル化が進んでいます。しかし、地方のあるSMはマニュアルを超えたサービスを提供して、お客さまから高い評価を得ています。

 赤ちゃんを抱っこしたお母さんが精算をするためレジにやってきました。商品のスキャンが終了し、支払い金額を提示されたお母さんは1万札を出しました。そのお母さんのお財布の形はいかにもお札から入れやすいものでした。

 マニュアルでは釣銭のお返しを札、レシート、小銭の順に乗せ、一度にお渡しすることになっています。しかし、そのお母さんの状態を見たレジ担当は、マニュアルとは違って、お札、レシート、小銭を別々にお返ししました。マニュアル通りにしたら、赤ちゃんを抱っこしたこのお母さんは釣銭をお財布に入れづらいと判断したからです。

 今度はしょうゆと油をカゴに入れたお年寄りがレジにやってきました。SMではレジ精算後はお客さま自身がレジ台からサッカー台へ商品を移動するルールになっています。

 しかし、折角来店して下さったお年寄りに重い商品(しょうゆと油)をサッカー台へ運ばせることが良いことでしょうか? このレジ担当はレジに並んでいる他のお客さまに会釈をし、さっとそのしょうゆ、油が入ったカゴをサッカー台へ運びました。それを見ていた他のお客さまは笑顔に変わりました。

 私がそのSMへ仕事で出張し、帰京するときに起きたことです。野沢菜が名物のため、私は出張の都度、そのSMで野沢菜をお土産として購入します。あるとき、野沢菜購入後、レジ担当から「お客さま!」と声を掛けられました。振り返ると袋をもう一枚差し出していたのです。

 私は「やられた!」と思いました。私はスーツ姿で大きなかばんを持っています。その男が野沢菜を一つだけ買ったのです。この姿、状況からこのレジ担当は『出張中であること、お土産で野沢菜を購入したこと、これから新幹線で帰京すること』を想像し、『野沢菜は水ぽい、新幹線の中で袋が切れたら大変だ、もう一枚袋を渡そう』と思ってくれたのです。

 このようにレジの仕事で、『その後お客さまはどうなるのか』と考え、自分のサービスレベルをお客さまごとに変化させることができたのです。正にマニュアルを超えたサービス提供です。

残念なレジサービス

 そんな中、ある空港の立ち飲みスペースで起きたことです。仕事も終わり、ビールをとおつまみを購入しました。私はビールとイカの薫製、相棒はビールとかまぼこです。相棒のかまぼこは簡単に袋が切れたのですが、私のイカの薫製は袋が開きません。困った私はレジ担当に「このイカの薫製、袋開かないよ!」と言いました。するとレジ担当は言いました。「はい、よく言われるんです」。お笑いコントのようにコケました。

 皆さん、SMのレジとこの立ち飲み屋のレジ、どう思いますか? お客さまの『その後』を考えるか、考えないかでレジサービスは格段の差を生むのです。