野本弘文 東急グループ代表・東京急行電鉄(株) 取締役社長

 1947年福岡県生まれ。71年大学卒業後、東京急行電鉄入社、田園都市事業部で宅地造成事業に携わる。2001年事業戦略推進本部メディア事業室長、2004年イッツ・コミュニケーションズ(系列ケーブルテレビ会社)社長、2007年東京急行電鉄取締役開発事業本部長、08年専務などを経て、2011年4月より現職。15年6月より東急グループ代表も務める。
(野本氏の講演は2月20日15時より)

 

「私の両親は野本商店という酒類・果物屋を営んでいました。店主である親父は店内のレイアウトをしゅっちゅう変えるんです。何でこんなに変えるのって聞きました。そうしたら“どんなお客さんでも3年もすると飽きちゃう”」

 商家の子であった野本氏。子供ながらに感じたお客さま心理が自身のビジネス観の礎の一つになっている。

「お客さまは常に変化を求めています。それを実現できるような組織や仕組みをつくらなければなりません。私自身、面白い仕事がしたいの一念で長らくやってきた。“自分で起業しないのですか”と取引先からよく言われた時期もありました。私は若いときから社内の事業、プロジェクトについて是々非々をはっきりと言ってきた。うるさいやつと思われたのか、グループ会社に放り出された時代もありましたが(笑)。でも考えてみれば、今のわが社の中でも起業するつもりで面白い仕事をしたいという社員はたくさんいる。これを後押しできる組織にしたい」

 目下、同社は2020年の東京オリンピック、2022年の会社創立100周年に向けて、拠点渋谷を中心とした再開発事業を急ピッチで進める。本ゼミナールでは「東急の百年構想」と題して、「日本一住みたい街」「日本一訪れたい街」「日本一働きたい街」づくりに向けて、全社一丸、強い個々が集まった社員集団に変貌させようとする取り組みを語る。

 2015年に中期経営計画「STEP TO THE NEXT STAGE」を掲げ、社員からのイノベーションの創出を促す「社内起業家制度」、ベンチャー企業とのコラボレーションを進める「アクセラレートプログラム」の2つをスタートさせた。

「グループ各社とも縦割り意識が強かった。今回の事業を機に“一つの東急”として連携させる。大企業といわれるわれわれだって、個人商店の集合体である必要がある。そのためには、組織の大小にかかわらず共感してもらえるビジョン、的確な判断に基づく決断力、周囲との協働、を持ち続けることが大事」として自らの会社で言い続けている野本氏。その主張はゼミナール参加者の起業者精神を刺激するだろう。

 

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