オフィシャル・スポンサーをきっかけにブランドが生まれたことも

 今回、韓国では「平昌ロングダウンコート」に人気が集まったそうだ。平昌五輪記念公演で人気アーティストが着た姿がSNSなどで話題になって、一気に関心が広まった。

 また、有名ブランドのダウンコートが30万~50万ウォン(約3万~5万円)する中で、「平昌ロングダウンコート」は14.9万ウォン(約1万5千円)と、購入しやすい価格設定だったことも影響した様子。3万枚という生産枚数とお手頃な価格のバランスが取れていたのか。というと、微妙な判断にはなるが地元開催を盛り上げる意味では良いニュースになったのではないか。

 オフィシャル・スポンサーをきっかけにブランドが生まれたケースもある。それはデサントの「オルテライン」だ。先にも触れた通り、前の冬季五輪の日本代表選手団のために、生地を熱圧着して内部にダウンを仕込む技術を開発して、ダウンを固定するためのステッチを要しないダウンウエアを完成させたのが、これ。デサントの自社工場のある岩手県水沢の地名を冠して水沢ダウンとして国内製造のハイクラスダウンを核商品に、2012年にブランドデビューした。今年も多いに人気を博したユニクロシームレスダウンは、デサントの水沢ダウンの技術を廉価に提供した商品といっても過言ではない。そうした意味でも日本のダウンジャケット市場に大きなインパクトを与えることになった。

スポーツ競技から技術移植し、ファッションが進化してほしい

 冒頭で語ったように競技ウエア自体は、一般消費者に向けられるものではないが最期に取り上げたデサントの「オルテライン」のように、技術転用したケースもある。五輪を広告媒体として捉えることもできるが、アパレルについてはサポートとともに投資して、技術移植によるビジネス転用させることが重要だ。AOKIについてもパーソナルオーダーシステムの活用によって選手たちの嗜好の選択肢を増やして対応している。

 ファッションそのものの進化の歴史を見ても、軍事に関わる仕様が後に一般化されるケースが多い。これからはスポーツ競技からもどんどん技術移植して進化してほしいと切に願うし、東京五輪に向けても大いに期待したい。これから始まる冬季五輪、競技観戦はもちろんのこと、ファッションについても注目して観賞してみてほしい。