(アマゾン社提供)

 2018年1月22日、シアトルのアマゾン本社1階にあるAmazon Go(1800sq.ft.=167㎡)が1年以上の従業員オンリーのテスト運営を終えて、一般顧客向けに営業を開始した。

 レジ待ち無し・レジも無しで「Just Walk Out(ただ退出せよ)」がうたい文句の同フォーマット、初日は入店時に長い列ができた[1]のはおめでたいやら皮肉なことやら。ランチタイムには一時期、入店に10~15分かかったという。

 一般公開に先立ってアマゾンが行った内見会。開店日の各種メディア報道とソーシャルメディアのコメント等から、小売業界・流通業界として「注目すべき情報」をまとめた。

【出入店ゲート】AZTECコードのスキャンから行動追跡が始まる

 

 改札口のようなゲートがあり、事前にダウンロードしたAmazon Go・アプリのAZTECコードをゲートでスキャンし入店。AZTECコードはアマゾン口座に連結している。

 この段階で、同店システム上で買物客の行動追跡が始まり、商品を棚から抜いたり、戻したり、買物終了・自動課金までの動きが全て認識される。

 買物が終了したら退出するのもこのゲートで、通過時に自動的に課金されアプリにレシートが送られる。

【システム】コンピュータビジョンと機械学習を使用

 ファーストカンパニー誌他が行ったアマゾン社テクノロジーVP、ディリップ・クマール氏への取材によると、システムの詳細については語られなかったものの、「コンピュータビジョンと機械学習を使用したシステム」で、天井に取り付けられた何百台もの黒いセンサーボックスが買物客と商品の動きを認識し、ある商品が棚の上にあるか外にあるかを、その商品の部分が多少隠れていても把握する。

 クマール氏によると「センサー情報のほとんどは天井で収集する。カメラが買物客が棚に対して行う動作を推測し、コンピュータビジョンがどの商品を取ったかを推測、機械学習アルゴリズムもまたどのアイテムが取られたかを決定する」[2]とのこと。

 一昨年、初めてAmazon Goの報道があったときにはセンサーとRFIDを使用していると報道されたが、クマール氏は、RFIDタグのような伝統的なテクノロジーは使っていないが、商品に印刷されたバーコードを合図として使うことができると説明している[3]

 クマール氏によると「アルゴリズムとセンサーの信頼性、活用性、効果を高めるために多くの時間を割いた。その結果、非常に精度の高いシステムとなった」とのこと。

 昨年春、テスト中のAmazon Goは店内に約20人以上が入るとシステムが十分機能しない[4]と報道され、当時2017年度の早いタイミングで一般公開される予定が延期されたが、今回は消防法が定める施設収容上限数までは正確に情報を掌握できるそうだ。

【課金漏れ・誤課金・返金・盗難】「非常にまれなエラーは気にしない」

 迅速なショッピング以外のもう1つの特徴は「課金漏れ・盗難防止」といわれている。課金漏れは初日に発生しており、ツィッターに初日開店直後の買物客がシギーブランドのヨーグルト課金漏れを掲載、CNBC局も同じシギーのヨーグルトをテスト購入し、課金漏れを報道した。しかし、アマゾン側は今はこういった「非常にまれなエラーは気にしない」ということで、また「システムエラーと盗難を識別することにも注力していない」とのこと。

 逆に二重課金などのエラーもあり得るのではないかと思うが、これについては大手メディアを含め、さまざまな人が「一度手に取った商品を天井のセンサーから隠れるようにこっそり入れ替え」テストを行い、結果を報告しているが、ソーシャルメディアを含めて現時点では二重課金や誤課金を報告はないようだ。

 しかし今後、長く営業する中で、こうした例はまれには出てくるのかもしれない。その場合でも、アプリ上のレシートには簡単にリファンド(返金)が申請できるようになっているので、システムエラーあるいは気が変わったときでも返金は楽そうだ。「簡単な返品」はアマゾンの得意技であり、ホールフーズ・マーケットでもちょっと商品に傷があったり、レジで課金額を間違えたりした場合、当該商品課金分を全額返金し、商品は無料でもらえる。この文脈でいくと、多少の損には目をつぶり顧客満足を優先して簡単に返金に応じるのだろう。

 盗難についていえば、クマール氏は「われわれは盗難を過度に心配していないし、過度に焦点を当ててもいない」と発言している。確かにAmazon Goは構造的に盗難しにくいフォーマットだ。入店時に買物客が認識されている環境の中で盗難するのは、名札を付けてスリを行うようなものであり、ここは1つの大きな防護壁となるだろう。

【商品】扱っているのはコンビニにある食品

 一言で言えばコンビニエンスストアで売られている食品カテゴリーと同じだ。ゲートに近い正面と左手エリアには冷蔵の飲み物、サラダやサンドイッチ等のデリカ、朝食やベーカリーが展開されており、まさに朝やランチにサッとピックアップしてサッと出られる体制だ。ホールフーズ・マーケットのPB「365」のスナックもここに置いてある。

 ゲートから右手奥には冷蔵庫にヨーグルトや乳製品、ワイン・ビール等アルコール類、スナックや常温保存飲料や食品が並び、こちらは帰宅途中に買って帰るイメージだ。アマゾンの2人用ミールキット(1食分が組み込んであって2人分20ドル弱)もこちらで販売されている。