お客さまは満足したこと、好印象を持ったことへの理由は言えないが、不満や悪印象の理由は明快に言えるのです。この特徴がCS経営の取り組みの方向を決定付けます。

お客さまは不満の理由は言えるが、満足した理由はなかなか言えない

 通常のCS調査をする場合、アンケート方式で顧客満足度調査を行い、グループインタビュー方式で個人別の意見収集を行います。このインタビューで面白いことが分かります。

 インタビューでは満足、不満の評価をまず聞き、その具体的理由を伺います。お客さまは満足、不満の評価は必ず言ってくれます。その不満の理由も具体的に言います。例えば、「今年の冬、イチゴを買ったが、パックの下の方にカビているものがあった。それ以来、その店は嫌いになった」という具合です。

 一方、満足の理由を聞くとその答えは抽象的で、「品揃えがいい、新しいものがある」等の答えとなるのです。

 このことから、お客さまは不満の評価を持つ場合ははっきりとした根拠を持って嫌い、不満になりますが、満足評価になる場合は何となく好き、何となく満足となることが分かります。お客さまはいろいろなことの積み重ねで、いつの間にかその店舗、商品のファンになるようです。

 この現象は価値理論という概念で説明できます。良い要素と悪い要素があった場合、良い要素は実質的価値とその認識できる印象は比例するが、悪い要素は実質的価値に比べ、その印象の大きさは3倍になるというものです。

 言い換えると不満に思ったことや嫌いだと思ったことの方が満足したことや好きと思ったことに比べ、3倍強く印象を与えるのです。だから、お客さまは不満の理由を明快に言えるのでした。

ファンになってもらうためには小さな積み重ねが大事

 従って、お客さまから好き、満足の評価を頂くためには、強いインパクトのある施策を時々打つことより、日常的な好印象をお客さまに持っていただけるよう、小さなことを積み重ねる方が効果は大きいのです。

 その小さな積み重ねはお客さまから「そんな小さなことまで気が付いているの!」と言われることにつながります。例えば、良い評判を得ているガソリンスタンドでは施設内清掃は元より、敷地周辺の道路掃除だけでなく、除草も徹底的に行います。周辺住民の評価は高く、またそこで働くアルバイトのしつけも良いため、自分の子供も働かせたいという声も出てくるのです。

CS経営では微差が大差を生みます

 顧客満足獲得は『微差が大差』がキーワードなのです。CS経営では大きな成果を狙うホームランを望んではいけないのです。小さなことをばかにせず、コツコツと取り組みの数を増やします。お客さまの期待をちょっと超える提供価値を探し続けましょう。